2021.12.4 (土) 雨落ち
隠居の建物は残されている写真から、築150年は経ているものと想像される。その屋根は、1980年代の初めまではトタンで葺かれていた。元は瓦屋根だったものが1949年の今市地震で壊れ、しかし戦後の物資不足により復旧できないまま後代まで至ってしまったものと想像している。
その屋根は、というより建物全体は、1980年代の前半から中ごろにかけて、ほぼ元の姿に戻された。その際、雨樋を廃して設けられたのが雨落ちである。
雨落ちは風情のあるものだけれど、殊に落ち葉の季節は管理が面倒だ。作るときにはそのようなことは考えもしなかったに違いない。秋に植木屋が入れば彼らは落ち葉をブロワーで吹き飛ばす。しかし葉は彼らのいないときにも落ち続ける。
隠居係のタカハシリツコさんの苦労はいかばかりか。しかし石の間に入り込んでいるように見える落ち葉も、熊手を使うと意外や簡単に取り除くことができると、タカハシさんは教えてくれた。
取り扱いの面倒な雨落ちではあるけれど、隠居の建物が長く保っている背景には、この雨落ちがかなり貢献しているはずと、古建築に詳しい人に言われたことがある。雨落ちは建物が湿ることを強力に防いでくれるらしい。「汁飯香の店 隠居うわさわ」を開業するに当たって厨房の面積を広げるべく床板を外した2019年12月には確かに、床下の土が乾ききっていることに本職は驚いていた。
さてその隠居は年が明ければ開業3年目を迎える。新年の店開きは1月8日。その土曜日から31日の月曜日までは「なめこのたまり炊」を使ったお雑煮も、品書きに加える。この雑煮はかなり美味い。これを肴に地酒をお楽しみくださるお客様がいらっしゃれば、とても嬉しい。
朝飯 コールスロー、納豆、筑前煮、温泉玉子、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、メシ、ブロッコリーの味噌汁
昼飯 長葱のつゆで食べるざるうどん
晩飯 ひじきと大豆の炊き合わせ、厚焼き玉子、豆腐と白菜の味噌汁、トマトとレタスのサラダ、鶏の唐揚げと揚げ餅、「なすのたまり漬」のからし和え、麦焼酎「こいむぎやわらか」(前割のお燗)