2021.7.23 (金) 忙中の閑
「最も好きな時間って、どんなときですか」と訊かれて「尻のポケットに文庫本を突っ込んで『さぁ、今日はどこへ飲みに行こうか』と街を歩いているときですね」と答えたことがある。1988年7月23日の会話と覚えているのは、自衛隊の潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」の事故を、赤坂から西麻布へ向かうタクシーのラジオが伝えていたからだ。
いま「もっとも好きな時間は」と訊かれれば、それが日常のことなら「夜と朝のあいだに自宅の食堂で日記を書くか本を読むかしているとき」であり、非日常のことなら「南の国のプールサイドで本を読んでいるとき」となるだろう。
午前、それまで会話をしていた電話の受話器を置いて「金谷ホテルさんがいつもの品を、どうにか急ぎで間に合わせられないか、とのことです」と、事務係のカワタユキさんが僕の方を振り向いて言った。
20年ちかく前に、日光金谷ホテルさんの蔵の中から大正時代のカレーのレシピが発見された。それが再現をされて、今は「百年ライスカレー」として同ホテルの名物になっている。それに付け合わされるのは上澤梅太郎商店のらっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」と、たまり漬「ホロホロふりかけ」だ。今年限りの変則的な四連休に、想定外の数のお客様が訪れているのだろう。
即、包装の部署に走る。そして夕刻までにはご用意できる旨を確かめて事務室に戻る。と、そこに今度は中禅寺金谷ホテルさんから電話が入り、こちらにも取り急ぎ欲しいと、ご注文をいただく。またまた現場へ走り、またまた事務室に戻る。そして折り返し担当者様に、承れる旨をご連絡する。緊急の仕事を意気に感じてくれる社員は有り難い。
毎年、梅雨の前と梅雨の明けたころを見計らって、店の4台のショーケースからすべての商品を取りだし、底板の更に下まで掃除をする。今年は今日が「梅雨の明けたころ」の掃除日に当たっていた。17時30分の閉店時間より、先ずは販売係、そこに製造係と隠居係も加わって、黙々と作業をこなす。約50分を経てすべてのショーケースは拭き上げられ、商品も元に戻された。他の部署の仕事を当然のこととして手伝ってくれる社員は有り難い。
今日は時宜を逸して昼食を抜いた。夕食を済ませて20時10分より入浴。20時30分に寝室に入って即、就寝する。夜の朝のあいだに起きるための、早寝である。
朝飯 大根おろしを薬味にした納豆、茄子とピーマンの味噌炒り、鰹節を薬味にした冷や奴、ひじきとパプリカの炒り煮、揚げ湯波の甘辛煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とオクラの味噌汁
晩飯 チーズ、TIO PEPE、ポテトサラダ、茹でたブロッコリーを添えた豚肉のソテートマトソース、Chablis Billaud Simon 2015、スモモ