2021.10.11 (月) おなじことが起きても
谷口正彦の「冒険準備学入門」については、この日記に幾度となく書いた。どこかへ出かけて何かをしようとするときには、その準備こそ楽しい、その実例を集めた本だ。僕もどこかへ行くときにはあれこれと調べる。むかしは人に訊くか書籍に頼るくらいしか、その方法は無かった。今はインターネットがある。
2018年3月にフアヒンへ行った。このときも事前に知識を蓄えようと、検索エンジンに様々な語句を入れた。もっとも参考になるのは、現地へ出かけた人による旅行記だ。その中に、ほとんどすべてのことに不満を述べている人がいた。現地で出会う面々はおしなべて感じが悪く、食べるものは不味く、マッサージは痛いばかり。バスは時間どおりに来ず、バンコクへ戻っても面白いことは何ひとつ無い。
ところでこの人とおなじ経験を、別の人がしたとしよう。その人は案外、すべてを愉快と感じ、快適に過ごしたかも知れない。はじめ無愛想と思われた相手はたったの一言、ほんの少しの心付けで破顔一笑する。食事で外れを引くのも旅の一興。痛いマッサージは効いた気にさせられる。バスが時間どおりに来ては、日本とおなじで却って面白くない。バンコクは喧噪の都ではあるものの、朝は緑陰に鳥が啼き、プールサイドは安逸に満ちている。
運とは大抵「自分は運が良い」と思っている人のところにのみ降りてくるものだ。
「次の旅先ではどれを読もうか」と考えながら、日々、棚を眺める。その本が、毎日のように変わる。悩みながら選ぶことも、また、楽しい。
朝飯 生のトマト、菠薐草とハムのソテー、大根おろし、納豆、「夏太郎」らっきょう、ごぼうのたまり漬、メシ、舞茸の天ぷらの味噌汁
昼飯 「麺屋ききょう」のネギ塩ラーメン
晩飯 チーズと無花果とレタスのサラダ、牛ミートボールのスパゲティ、Moulin a Vent La Rochelle Pierre Marie Chermette 2018、葡萄のショートケーキ、Old Parr(生)