2021.6.23 (水) “UD”
昨年の夏まで愛用した汁椀は、2012年8月30日に手に入れた。
その日、日本橋タカシマヤでは「バーナード・リーチ展」が開かれていた。これを観た僕は、おなじ階の「民藝展」へと回った。会場を歩くうち目についたのは、漆器の売場にあった”UD”の2文字だった。責任者らしい人に問うと、それはユーティリティデザインの略で、体の機能の衰えた人にも使いやすい設計と、教えてくれた。
生来の不器用によるものか、あるは粗忽な性格によるものか、僕は手に持ったものを落としやすい。味噌汁の入ったお椀もまた、例外ではない。僕はその”UD”と表示のあるお椀を手に取り、その感触を確かめて、赤と黒の2色を買った。
お椀は手によく馴染み、文字通り手放せないものになった。赤も黒も自分の専用とし、その日の気分により使い分けた。そして8年が経つと、流石に「くたびれ」が見えてきた。”UD”の意味を教えてくれたイワダテタカシさんの名刺は、食器棚に大切に保管しておいた。
岩手県二戸市浄法寺町漆沢の「漆工房やまなみ」に2客を送ったのは、昨年の8月3日だった。イワダテさんによれば、塗りは若い女の人がする。その人はいま山に入って漆かきをしている。納品は来年の春になるだろうとのことだった。僕は、上質のものを修理しながら長く使うことを好む。待つことは厭わないと、イワダテさんには伝えた。
先月10日、塗師のヤマザキナミコさんから電話が入った。念には念を入れて、仕事をしているらしかった。次の電話は本日に入った。納品は明日とのことで、同時に伝えられた代金は、仰天するほど安かった。
この日記の公開ボタンをクリックするのは明後日。よって塗り直しの完了したお椀の画像は、ここに載せることができるだろう。
朝飯 納豆、春雨サラダ、菠薐草のおひたし、生のトマト、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐とキャベツの味噌汁
昼飯 「ふじや」のタンメンバター
晩飯 蓮根の梅肉和え、榎茸と菠薐草のおひたし、蕪と胡瓜のぬか漬け、鯛の煮付け、茄子とパプリカと牛肉の味噌炒め、「飯沼名醸」の「杉並木無濾過原酒純米吟醸」(冷や)