2021.6.9 (水) 琴酒為誰携
それにしても気持ちの良い陽気だ。空気は乾き、暖かい。自転車に乗る二の腕が風を切っても、感じるのは快さのみだ。もっとも梅雨時とは思えない晴天と引き替えに、一部の作物には生育の遅れが目立つという。上澤梅太郎商店にとって重要ならっきょうも、またそこに含まれている。何とも悩ましい。
九州の宮崎は、らっきょうの大きな生産地だ。誰もが知るように、気候変動の激しい昨今は、その収穫時期を狙い澄ましたように、毎年、そのあたりを豪雨が襲う。そしてらっきょうの生産量を激減させ、価格は急騰の一途を辿るのだ。
終業後、ワイン蔵に保管した一升瓶を食堂へ運ぶ。このお酒を飲むのは19年ぶりのことかも知れない。レッテルには良寛の詩が、ある。
東山明月出
楼上正徘徊
思君君不見
琴酒為誰携
そしてその、篆書体の文字を目で追いながら、いびつな小壺に移した中味を更に猪口に注ぐ。一杯目は農耕の神に捧げるべきだろうか。今年の梅雨の穏やかなことを、祈るばかりだ。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、菠薐草の胡麻和え、スペイン風目玉焼き、鮭の地酒粕と日光味噌漬け焼き、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 焼き鮭、豚肉のそぼろ、塩鰹のふりかけ、梅干のお茶漬け
晩飯 めかぶの酢の物、ポテトサラダ、トマトとキウイのサラダ、薩摩芋とベビーコーンの天ぷら、クレソンを添えた牛肉の漬け焼き、「菊姫」の「山廃仕込吟醸」(冷や)、桜桃