2021.4.28 (水) 好みまたは独りよがり
暗闇に目を覚ます。きのう寝る前に、メンソレータムを塗り込んだことによる手袋が両手にあることに気づく。木綿の手袋をした指では、iPhoneは操作できない。その代わり、外からの情報に妨げられることなく、あれこれと考えることはできる。もっとも「考える」とはいえそれらはすべてよしなしごとにて、直後には忘れてしまうことばかりだ。やがてiPhoneに仕込んだ、5時を報せる音が鳴る。目を覚まさせるためのものではない。「今日は製造現場に朝の仕事があるぞ」ということを思い出させる音である。
着替えて洗面をし、食堂に来てカーテンを巻き上げる。外は雨。と同時に、先ほどまでは気づかなかった、クルマのタイヤが路上の水を切る音が聞こえてくる。
店の、お客様がお休みになる空間には、40年以上も前から長い床机を置いてきた。新型コロナウイルスが日本に上陸して以降、その上には密を避けるため、ひとり分ずつ間を開けるよう注意書きを並べた。きのうはその床机を撤去し、代わりにひとり用の椅子6客を置いた。長野県大町市に工房を構える柏木圭によるこの椅子は、磨き込まれた石の上では滑りやすい。よって午後、そのすべての脚に、シリコン製の覆いを取り付けてみた。結果は上々。その覆いが100円ショップに売っているとは、販売主任のハセガワタツヤ君に教えてもらったことだ。
連休中の隠居の床の間には、今井アレクサンドルのガーベラの絵を掛け、口の欠けた壺を置くことを、夕刻に長男と決める。金銭的価値はほとんどゼロの室礼にて、僕好みといえば僕ごのみ、独りよがりといえば独りよがりの組み合わせである。
朝飯 炒り豆腐、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、グリーンアスパラガスとウインナーソーセージのソテー、塩鮭、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐とグリーンアスパラガスの味噌汁
昼飯 「十文字食堂」のモツ炒め定食
晩飯 トマトとキウイのサラダ、ポテトサラダ、餃子スープ、春巻き、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)