2021.2.24 (水) 何となく、すっきり
先月、千葉の山の中から戻った際に、私設の美術館”as it is”に立ち寄ったことを長男に告げた。すると長男はその日のうちに坂田和實の「ひとりよがりのものさし」を貸してくれた。
長男が日本橋高島屋に出張をしているあいだ、僕はこの写文集を読み続けた。青柳瑞穂の名は、そのページの残りも尽きるあたりにあった。ひっそりとしながら、しかしそれは気持ちに深く染み込んできた。
青柳瑞穂の「壺のある風景」は、ウェブ上に存外に安く見つかった。日本経済新聞社の刊であれば、ある程度は売れることを期待された本だろう。
届いて以来、僕はこの、それほど売れたとも思われない本を毎日、読み進んでいる。50年前に出たものとしては文字が大きく、行間も広いから、未明の食堂でも、また早朝の光の中でも苦も無く読める。内容は、とても面白い。そして味わいとしては、徳川義親や江戸英雄のそれに近い。
とここまで書いて、理解したことがある。僕は文章を、情報としては読んでいない。道ばたの花に足を止めたり、古い器を眺めたり、虫の音を聞くようにして、僕は本を読んでいるらしい。僕は文章は、読むそばから忘れる。その理由が今朝は、はじめて分かった気がする。何となく、すっきりした気分である。
朝飯 こんにゃくの甘辛煮、納豆、菠薐草のおひたし、牛蒡と人参のきんぴら、刺身湯波、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと万能葱の味噌汁
昼飯 揚げ玉、塩鰹のふりかけ、焼き鮭、白菜漬け、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 中華ハムの刻み長葱和え、焼き餃子、焼きそば、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)、苺の杏仁豆腐