2021.2.15 (月) しもつかり
おとといからきのうにかけて、全国各地にお送りした「美味定期便」には栃木県の郷土食「しもつかり」も含まれていた。しもつかりは鮭の頭を煮くずし、そこに鬼おろしで降ろした大根と人参と大豆、最後に酒粕を加えて更に煮たものだ。
しもつかりは、自分の感覚からすると見た目が悪い。顔を近づけて香りを聞く気さえしない。長く食わず嫌いを続けて来た。その「続けて来た」を一発で断ち切ったのは、並木蕎麦のあるじで、今は亡きアオキウイチさんだった。
あるとき銘木に囲まれたオヤジさんの自宅へ遊びに行った。時期は今ごろだったのだろう。「こういうものを食わねぇから、からだが弱いんだ」と、オヤジさんは僕ににもつかりを無理強いした。僕には偏食の人を軽く見る性向がある。「そのオレが食わなくてどうする」という気持ちがあったのかどうか、遂に生まれて初めてのしもつかりを口にした。案に相違して、その美味さに驚いた。僕は27歳だった。
むかしの台所では、しもつかりは凍ることもあったという。つまりしもつかりは冷たいまま食べるものだ。朝は温かいごはんのおかずとして、夜は温め酒の肴として、しもつかりは日に2度、3度と異なった形で愉しめるおかずである。
家内が数日かかって大鍋に煮たしもつかりも、今日の午後には隨分と少なくなった。明日の朝食は、これによる一汁一菜にしようと思う。
朝飯 白菜漬け、秋刀魚の梅生姜煮、しもつかり、厚焼き玉子、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とピーマンの味噌汁
昼飯 焼き鮭、梅干、塩鰹のふりかけ、しその実のたまり漬、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 大根と薩摩揚げの炊き合わせ、筑前煮、ごぼうのたまり漬、しもつかり、刺身湯波、豚肉と小松菜ともやしの炒め、白菜漬け、紅白なます、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、「久埜」の草餅、Old Parr(生)