2021.2.8 (月) 琴酒誰為携
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の客席の状況は、事務室でも確認ができる。その、ご予約とご予約の合間を見計らって、乾つまり北西側の柴折り戸より隠居に入る。6畳と8畳の座敷は庭に面している。その、南西からの光が隅まで届く床の間の様子を眺める。
床の間には、おととい千葉の山の中から持ち帰った壺が置いてある。その壺の、肌の荒れたところを裏の方まで確かめる。灰による緑色のしたたりも見る。土の爆ぜた跡には指で触れてみる。「手に入れて良かったなぁ」と、つくづく思う。しかしまぁ、それは僕だけの感想かも知れない。
ところでこの床の間には、軸は昨年の開店直後にめでたいもの、そして秋に大黒と、ごく短いあいだしか掛けていない。家にある軸は、箱こそ古色を帯びているものの、中味は駄物ばかりだ。それが、軸は滅多に掛けない理由である。
どこかの陋巷に思わず息を呑むような軸の落ちていることはないか。その墨跡が「多少樓臺煙雨中」とか「琴酒誰為携」なら言うことはない。
朝飯 茹でたブロッコリー、秋刀魚の梅生姜煮、ベーコンと玉子のオーブン焼き、すぐき、ごぼうのたまり漬、白菜キムチ、大豆の八角煮、メシ、舞茸と菜花の天麩羅の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 めかぶの酢の物、菠薐草と海苔のおひたし、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、おでん、「片山酒造」の初しぼり「うすにごり素顔」(冷や)、自家製あんこ餅、Old Parr(生)