2021.2.5 (金) 3月、4月
紅型の内裏雛の額を、箱に入れたまま持って隠居へ行く。そしてこれを、八畳間の床脇に掛ける。ひな祭りは3月3日。よってこれからひと月ちかくは、これを掛け続けることになるだろう。
雛の次には土筆と桔梗を金泥で添えた「更佳」の書が控えている。隠居の庭には実際に土筆が生える。しかしそのとき、頭上に山桜が花を開いていたかは記憶していない。
隠居にはかつて6、7本の桜があった。それをあるとき植木屋の助言を容れて、伐りに伐った。助言とは「育ちすぎて、このまま枯れたら始末に負えない」とか「こんなところに実生から育って、邪魔なだけ」というようなものだ。そして現在は染井吉野と山桜と枝垂れ桜の3本のみが残っている。
昨年の、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言は先ず、4月7日に首都圏、関西、九州北部の7都府県に発令をされた。そして9日後の4月16日に、それは全国に拡げられた。これを受けて「汁飯香の店 隠居うわさわ」は休業に入った。つまり「隠居」のお客様は、いまだ庭の桜をご覧になっていない。
こちらの桜は東京のそれにひと月おくれて咲く。見ごろは4月のなかばから下旬にかけてになるだろう。今年は満を持して、お客様には便りをお送りしようと思う。
朝飯 干し海老を薬味にした菠薐草のおひたし、納豆、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、秋刀魚の梅生姜煮、広島菜漬け、沢庵漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと万能葱の味噌汁
昼飯 塩鰹のふりかけ、牛肉のすき焼き風、秋刀魚の梅生姜煮、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 3種の野菜を添えた串カツあれこれ、Old Parr(ソーダ割り)