2021.1.7 (木) カワラセンネン
2011年3月11日の午後に大地震が起きたとき、上澤梅太郎商店の蔵の屋根には何人もの人がいた。
出入りのイナバ塗装には、そもそも店の破風を、新築以来35年ぶりに塗り直すよう注文していた。高所作業車に乗ったイナバ社長はそこで、屋根瓦にも手を入れた方が良いことに気づいた。僕は本職の意見には従うたちだから、そのまま屋根のことも頼んだ。
瓦職人も加わった一団は、やがて店の屋根から蔵の屋根まで調査と調整を進め、そこで地震は起きた。南東と北東にそれぞれ面した屋根の、そのとき彼らは北東側にいた。盛大に瓦を滑り落とした南東側にいたら、何人かは命を落としていたかも知れない。
イナバ塗装の社長には、これこれの金額を用意してくれれば即、材料の確保に入ると言われた。信じがたい大惨事がテレビを通して伝えられ続けていた。「屋根をステンレスで葺き直せば、瓦が落ちるなどは、もうないではないか」とも思った。そして2日のあいだ考えて、屋根はやはり瓦のままでいくことを決めた。資金の出しどころについては、スズキトール税理士に報告、確認をした。
そこここで資材が急騰、欠品する中、上澤梅太郎商店の瓦屋根はいち早く元の形を取り戻した。「瓦千年、手入れ毎年」とは、そのとき知ったことばだ。
昨年末、その蔵の庇に不揃いな瓦が見つかった。2011年には手を着けなかった場所だった。修理は松の内最終日の本日に行われた。「手入れ毎年」とはいえ、しばらくは安心していられると思う。
朝飯 巻湯波の淡味炊き、納豆、牛蒡の牛肉巻き、めかぶの酢の物、茹でたブロコリー、ごぼうのたまり漬、広島菜漬け、メシ、小松菜の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のタンメン
晩飯 マカロニサラダ、パン、ロールキャベツ、Petit Chablis Billaud Simon 2016