2020.11.26 (木) “Spaghetti Pad Keemao”
バンコクの盛り場でしつこく袖を引かれるようなときには「マオレオ」と言ってやり過ごす。「マオ」は「酔う」で「レオ」は「既に」だから「マオレオ」は「もう酔っ払っちゃった」の意味になる。
1982年のはじめにタイからスリランカへ南下し、モルディブ、インド、ネパールと北上して2ヶ月後にタイに戻った。タイに戻ったということは、バンコク中華街の楽宮大旅社に戻った、ということだ。1階の食堂では背中一面に刺青を施した労働者がタイのウイスキー「メコン」をミリンダで割って飲んでいた。僕はもっぱらシンハビールを飲んだ。食堂の経営者スワニーはなぜか「酔っ払い」という日本語を知っていて、しばしば僕はその言葉でからかわれた。
「酔っ払い」はタイ語では「キーマオ」、そしてタイにはパッキーマオという料理がある。酔っ払いが小腹を空かせ、台所にあるありあわせの材料を炒めて食べようとする、それがパッキーマオだ。
チャオプラヤ川を眼下に望む洒落たテラスで、ある昼に冷たい飲物を頼んだ。何かを食べるつもりはなかったもののメニュを繰っていくと、パスタのページに”Spaghetti Pad Keemao”の文字が見えた。僕は静かに驚喜した。「次はコレしかねぇじゃんか」と思った。
今夜のスパゲティにはセルフィーユを盛大に盛ってもらった。パセリの方が似合うことは、重々、承知の上でのことである。
朝飯 牛蒡と人参の煮物、ブロッコリーのサラダ、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、焼き鮭、納豆、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、トマトと小松菜の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 カプレーゼ、TIO PEPE、スパゲティナポリタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、シュークリーム、Old Parr(生)