2020.11.15 (日) 「誰も読まねぇ」
「誰も読まない社史」と山本夏彦は書いた。「誰も読まない」とは、その会社の人も読まない、ということだろう。進呈された方は更に読まないこと必定である。
それほど小さくもない集まりで挨拶をするよう、ある役所に頼まれた。「面倒なことだ」と考えるより先に「挨拶文はこちらで用意しますので」と相手は淡々と説明をしたから、僕は胸をなでおろした。
僕はその、役人の作った文章を壇上で読み上げた。内容は、読むそばから忘れた。会場にかしこまった面々も、僕の口から出たあれこれは、右から左へと抜けただろう。こちらは、いわば音声による「誰も読まない」文章に他ならない。
時候の挨拶だったか何だったかは忘れた。とにかく文章を考えていると「誰も読まねぇ」と、脇からオヤジに言われた。確かに、世の中には、誰にも読まれない文章が山ほど行き交い、浪費され、埋もれ、あるいは消えていく。
「誰も読まねぇ」とは一面の真理ではあるけれど、たまには読む人もいる。だからやはり、何かを書くときには、気は抜けないのだ。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、牛肉のすき焼き風、生玉子、油揚げと蕪の葉の炒りつけを添えた納豆、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 菠薐草のおひたし、おでん、豆腐の玉子とじ、鰤の燻製、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、自家製の蒸し羊羹