2020.11.11 (水) 割れないグラス
「暗闇で吸うタバコは思いのほか美味くない」と書いたのは吉行淳之介だっただろうか。暗闇では空中に漂う煙を目で追うことはできない。それが「美味くない」理由だったように思う。
新型コロナウイルスの蔓延により、人々はアルコールで手を頻繁に消毒するようになった。これによる乾燥から、手荒れに悩む人も多くなったと、あちらこちらの媒体が伝えている。僕は以前よりアルコールを手に噴霧することを常としてきた。僕の手は季節を問わず乾燥し、荒れている。
壊れやすいものほど腫れ物に触るように、軽く持つ癖が僕にはある。乾燥した手にその癖が加わり、そこに最近は加齢による「うっかり」も重なって、陶磁器やガラスの道具を壊すことが増えてきた。
蒸留酒のソーダ割りを飲むための薄いグラスは2客があったものの、1年ほどのあいだに2客とも失った。ブルゴーニュの白ワインを飲むためのグラスも2客があって、こちらも次々と割った。
業を煮やして検索エンジンを頼ったところ、金属製のワイングラスは確かに存在した。しかしそれでワインを飲んで、果たして美味かろうか。暗闇のタバコと同じ理屈である。
朝飯 納豆、おでん、ウィンナーソーセージのソテーを添えた目玉焼き、めかぶ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、みょうがのたまり漬、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 オイルサーディンのチーズ焼き、「あづま」から持ち帰ったフライあれこれ、同ぬか漬け、Petit Chablis Billaud Simon 2016