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清閑 PERSONAL DIARY

2020.11.7 (土) 名人

自分以外の乗客は自動小銃を握った兵隊のみ、という列車に揺られて着いた先でひねもす昼寝をしているような野放図なところがある一方、妙に几帳面なところもある。煎茶は60℃のお湯を用いて急須に90秒を置くのが最適と聞けば、その通りにする。沸騰したお湯は、湯飲みに注いで15分で60℃になる。90秒という時間もまた、タイマーで正確に計る。そうして淹れたお茶ではあるけれど、美味いと感じるのは月に2、3度くらいのものだ。

それをきのう夕食の席で話したところ、自分は煎茶の淹れ方を名人から習ったことがあると、長男はその方法を教えてくれた。

茶葉はひとり2グラム。熱湯を湯飲みから急須に移し、それをふたたび湯飲みに戻せば湯温は70℃。それを急須に注ぐ。抽出の時間は特に聞かなかった。

今朝、その方法を試すと、しかしお湯は75℃までしか下がらなかった。そのまま手順を踏んで、仏様の分と自分の分のお茶を淹れる。そうして仏様の分を仏壇に供え線香を上げ、食堂に戻って自分の分を飲むと、それは、特に美味くもなかった。念のために加えれば、茶葉は名人推奨のものである。

人工知能はいまや、将棋の名人に勝つ。お茶の名人より美味いお茶を淹れる機械はどこかにないか。あれば買って、台所に置きたい気分である。


朝飯 蓮根のきんぴら、納豆、小海老を薬味にした煮奴、油揚げと蕪の葉の炒り煮、細切り人参の炒りつけ、みょうがのたまり漬、メシ、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 蕪のすり流し、菠薐草のおひたし、らっきょうのたまり漬、金目鯛の煮付け3種の天ぷら、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、3種の葡萄“Chez Akabane”のショートケーキ、Old Parr(生)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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