2020.10.21 (水) 「それ以上」の更に上
「鮨は指でつまんで食べる。しかしてその指は、これまで散々、汚いものに触れてきた。だから自分は鮨は食べない」と書いたのは團伊玖磨だ。
僕も鮨は指で食べる。しかしその、両手に10本ある指のうちの8本には、アカギレにより絆創膏が巻かれている。特に利き腕の指に絆創膏があっては、鮨は食べられない。
冬のスキーを目指して夏から走り込む人がいる。夏のサーフィンに備えて冬のうちからジムに通う人もいる。僕は走り込みもジムに通うこともしない。しかし冬の鮨を食べるために手の手入れをする、くらいのことはしなければならないと思う。
15時30分、らっきょうのたまり漬が売り切れそうだと、販売主任のハセガワタツヤ君が事務室に来る。売り切れたら売り切れたで仕方ないとするか、と訊くので「それは絶対にダメだ」と答える。先ずは、荷造りのため蔵の冷蔵庫に保管してあるうちの予備を店に運ばせる。包装係は追加で袋詰めを始めているものの、作業が完了するのは16時50分だという。
らっきょうのたまり漬は幸いなことに売り切れを免れた。新鮮な商品をお客様に提供したい気持ちは分かるけれど、明日からはギリギリの線は狙わないよう、包装主任のヤマダカオリさんに注意をする。彼女によれば、今日の分も余裕をみたつもりが、それ以上に売れてしまったのだという。だったら明日からは「それ以上」の更に上を見なければならない。
鴨志田穣の「遺稿集」の、伊集院静による解説「鴨志田穣の文章」を読んでから夕食の席に向かう。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、めかぶの酢の物、茄子の炒りつけ、菠薐草と榎茸のおひたし、大根と人参のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸とブナシメジと菠薐草の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 根菜とレンズ豆のスープ、カジキマグロとトマトのスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「自由学園食事研究グループ」のフルーツケーキ、Old Parr(生)