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清閑 PERSONAL DIARY

2020.9.20 (日) ゲテモノ

小学4年生のとき、豚の心臓の漬け焼きを弁当のおかずにして、まわりの同級生たちに気味悪がられた。1966年、昭和41年の日本では、いまだ内臓肉はゲテモノの扱いだった。おなじ小学生のとき、学校の裏手の浄水場に、課外授業としてイナゴを獲りに行った。内臓肉はゲテモノでも、イナゴの佃煮はゲテモノでなかった。文化とは、つくづく面白いものだ。

僕は、内臓肉や昆虫食はゲテモノと思わない。僕の考えるゲテモノとは、たとえばカレー南蛮蕎麦だ。蕎麦とカレー粉を混ぜるなどというグロテスクなことを考えたのは、一体全体、どこの誰だろう。しかしあるとき、蕎麦では街で一番の老舗「糸屋」でこれを食べたところ、意外や美味くて一驚を喫した。以降、カレー南蛮蕎麦は僕の好むところとなった。

スパゲティチェーン「ポポラマーマ」は自由学園の同級生アケミツシ君が創業した会社だ。たびたび利用するこの店であるとき「納豆キムチスパゲティ」というものをメニュに見つけた。「なんだこのゲテモノは」と感じたものの、いざ食べてみると、とても美味かった。いまそのスパゲティは同店のメニュに見あたらない。だからいつまでも、懐かしく思い出すのだ。

僕の性格には「よきにはからえ」というところがある。会社で若い人が何かしようとするときには「あ、そー」くらいのところだ。そんな僕の知らないうちに、数日前から肉味噌が店に並び始めた。期間限定の商品だろう。500円に値付けされたそれを夕刻に買った。そして夜はそれを使って家内にスパゲティをこしらえてもらった。

「納豆キムチスパゲティ」がゲテモノなら、肉味噌納豆スパゲティもゲテモノに違いない。そしてそのゲテモノは、明日も食べたくなるほどに美味かった。長男が出張先の新宿高島屋から戻ったら、そのときには皆で食べたいと思う。


朝飯 プチトマトのサラダ、小松菜のおひたし、納豆、焼き鮭、すぐき、夏太郎らっきょう、メシ、舞茸の天ぷらと若布と長葱の味噌汁
昼飯 「なめこのたまり炊」によるなめこおろしのつゆで食べる冷や麦
晩飯 夏太郎らっきょう、TIO PEPE、肉味噌納豆スパゲティPetit Chablis Billaud Simon 2016プリン、Old Parr(生)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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