2020.9.13 (日) 来るなら言ってよ
地元の青年会議所が「にこっぺパンproject・コッペパンで日光を笑顔に」というものを企画した。様々なお店がそれぞれに工夫を凝らしたコッペパンを売る。3ヶ所を回ってパンを買い、各々の包装紙に貼られた「ニコッペシール」を主催者に持ち込むと、抽選で記念品がもらえるという催しだ。「そばのまち日光」とか「餃子のまち宇都宮」というものを目指してのものかも知れない。
それへの参加を促す知らせはウチにも届いた。長男はそれを受けて、すべてを社員に任せた。当方のしたことといえば、試作品の味を見て感想を述べたのみだ。
催しの開始は本日11時。タカハシカナエさんとサイトーミホコさんは、9時より調理室に籠もった。
それにしても、肉味噌とらっきょうのたまり漬を具にしたパンなど売れるものだろうかと、僕は危惧した。ところがふたを開けてみれば、というか、ふたを開ける前に、予定数のほとんどは予約で埋まった。
10時55分にお見えになったお客様に「何個あるの」と訊かれて「2個です」とお答えをする。「えっ」とお客様は絶句をされて、その2個はその場で売れた。そういう次第にて、上澤梅太郎商店のコッペパンは「にこっぺパンproject」の始まる前に売り切れてしまった。
一方「昼どきは個室にのみ空きあり」と朝礼で周知した「汁飯香の店 隠居うわさわ」にフリのお客様2名をご案内しようとして、11時に家内に電話を入れる。するとこれが、直前にお入りになった別のお客様により満席。隠居に向かわれつつあったお客様を駆け足で追いかけ、その旨をお伝えして頭を下げる。
そこに今度は「予約なんかして気を遣わせるといけないと思って」と、次男の同級生のお父さんとお母さんがいきなり見える。しかし隠居の満席はいかんともしがたい。庭のベンチへお連れして、冷たいお茶のみ差し上げる。それと前後して、ふた組のお客様を蔵見学にご案内する。文字通りの右往左往である。
蔵見学のふた組目のお客様は、子供のころから40年もウチに通い続けてくださっているとのことだった。そしてあろうことか「最後の晩餐は、大根のたまり漬の麦茶漬けと決めている」とおっしゃった。「ハハー」と頭を下げる他はない。
そのお客様と店に戻ってきたところで、僕に声をかけた人がいる。すこし前にこの日記に書いた、そして2006年には「サイトー君のメルセデス」という文章にしたサイトーさんだった。
「いま隠居で食べてきた、いやー、美味しかった、京都の美山より感動したよ」と、サイトーさんは嬉しいことを言ってくれた。「で、料理、誰が作ってるの」と訊かれて「僕の女房」と、僕は右手の握り拳から親指のみを立てて自分の顔を差した。「エッ、あれ、凄いよ」と、サイトーさんはランドローバーディスカバリーの運転席で目を丸くした。それよりも「来るならオレに言ってよ」である。
朝飯 牛肉のすき焼き風、細切り人参の炒り煮、おから、納豆、夏太郎らっきょう、メシ、若布と大根の味噌汁
昼飯 牛丼、生姜漬け
晩飯 豆腐とキャベツの味噌汁、南瓜の煮付け、すぐき、スパゲティサラダ、豚肉と蓮根のいため、葡萄、TIO PEPE