2020.8.29 (土) 「部分的には」
藤島泰輔と聞いてその顔がすぐに浮かぶのは、僕より上の年代に限られるだろう。この人の、同人誌などに発表されたものを除けばいわば処女作を、なぜ手に入れたかについては忘れた。
この小説が、僕の生まれる数ヶ月前に世に出たとき、著者は23歳だった。内容からすれば、驚くべき早熟ぶりである。序に三島由紀夫は「部分的には巧すぎるぐらゐ巧い」と書いている。この「部分的には」に、僕は三島の嫉妬を感じる。それほどに上手い。特に第二章の「激情」と第四章の「疑惑」には圧巻のものがある。その、文章が読み手に強いる緊迫感に、僕は庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」を思い出した。
と、ここまで書いて、高等学校に通うころに読んだ「赤頭巾ちゃん気をつけて」をamazonに検索してみた。帯の賛は、三島由紀夫によるものだった。不思議な合一である。
そしてきのうは本文を、今日は解説を読み終えたその「孤獨の人」を棚に戻し「次はどれにしよう」と、いまだ手を付けていない本を物色する。
朝飯 スクランブルドエッグ、オクラのおひたし、冷や奴、厚揚げ豆腐と小松菜の淡味炊き、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とキャベツの味噌汁
昼飯 胡麻のつゆと「なめこのたまり炊」で食べる冷や麦
晩飯 スーパーマーケット「かましん」で柵300円だった鰹によるサラダ、「鳥秀」で500グラム500円だった牛すじ肉と玉葱のトロトロ煮のリガトーニ、樹上完熟により市場に出せなかった「秋沢農園」の梨のシャーベット、Petit Chablis Billaud Simon 2016