2020.8.6 (木) 梅雨明け十日
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の撮影には、きのうと今日が充てられている。この両日を選んだにはわけがある。
ある夏休み、同級生のコバヤシヒロシ君から予期せず、野尻湖畔の別荘に誘われた。その別荘は、第二次世界大戦が近づくころ、故国へ帰る外国人からコバヤシ君の家が譲り受けたものとのことだった。
その日、コバヤシ君は先ず、江古田の家から僕の家まで電車で来た。そして1泊の後、当時、僕の乗っていた、1966年製のフォルクスワーゲンで北を目指した。
「毒ガス発生中」と注意書きのあった山道は、どこだっただろう。兎に角、軽自動車にさえ追い抜かれる力のない古いクルマで、我々は8時間もかけて長野県の最北部に辿り着いた。
コバヤシ君の家の別荘は、いよいよ混雑し始めた軽井沢から新天地を求めるようにして西洋人が集った「国際村」の「23番」にあった。その区画は、いま野尻湖ホテルの建つ高台を除けば、湖畔で最も魅力的な場所のように思われた。
以降、僕は毎年、暑くなるのを待ちかねるようにして、古色蒼然とした木造の「23番」に通った。そのころコバヤシ君は「夏は、梅雨明けからの10日間がもっとも晴れる」と言っていた。
「隠居」の撮影日としてきのうと今日を充てたのは正解だった。両日とも晴れて、撮影は滞りなく進んだ。「汁飯香の店 隠居うわさわ」のページの充実が、楽しみでならない。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、なめこのたまり炊の玉子とじ、炒り豆腐、菠薐草と椎茸の胡麻和え、らっきょうのたまり漬、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の冷やし中華
晩飯 炒り豆腐、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、筑前煮、獅子唐の天麩羅を添えた鮭のカマ焼き、大根と胡瓜のぬか漬け、「渡邉佐平商店」の「純米地酒焼酎」(ソーダ割り)、あんみつ、Old Parr(生)