2020.7.23 (木) だから、そうではなくて
高等学校の1年のときか2年のときか、それは忘れた。とにかく国語の授業のときだったと思う、「好きな季節と、その理由を述べよ」と、国語のヤマグチヒカル先生は問いを発せられた。
真っ先に手を挙げた者が誰だったかは覚えていない。指名をされて「好きな季節は夏。理由は、海で泳げるから」と勢いよく答えた。それを受けた先生の第一声は「そうではなくて」だった。
それまでの授業の成り行きから「そうではなくて」の理由は、僕には分かっていた。そういう具体的なことではなく、感情や情緒の発露を、己が内包する、今の言葉でいえば「エモさ」の探索を、先生は期待されていたのだ。
二人目か三人目に「好きな季節は夏。何というか、草がボーボー生えてて、太陽がギラギラしてて、地面に映る影が濃くて」と答えたのも、誰だったかは覚えていない。しかしそのとき「そうそう」と相づちを打たれた先生の、満足そうなお顔はいまだ脳裏に鮮明だ。
先生の問いに対して、今の僕なら何と答えるだろう。「好きな季節は夏。明るいうちから飲めるから」などと言えば「だから、そうではなくて」と「だから」が追加されることは明白である。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、目玉焼き、大根と人参と胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、鯛と豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 ソース焼きそば
晩飯 らっきょうの塩漬け、バンブー、マッシュルームと玉葱のポタージュ、3種のパン、カプレーゼとブルーベリーのジャムを添えた豚のパテ、Petit Chablis Billaud Simon 2016