2020.7.4 (土) 馬々虎々
「日記は翌日の早朝に書いて、その日の昼に公開する」というリズム、まぁ外来語はできるだけ使いたくないから時間的規則とでもしようか、とにかくそのような規則性を以て日記を更新していた時期がある。しかしここ数年は多く「日記は翌日の早朝に書いて保存し、既に完成しているおとといの日記を公開」している。自分の行動の理由を都度、考えることはしない。多分、在庫の余裕が欲しいのだと思う。
今朝は、おとといつまり7月2日の日記の「公開」ボタンをクリックして後は、そこにも書いた開高健の「玉、砕ける」を読む。そしてその冒頭より、これまで自分が読み違えていたところのあることに気づく。
—–
ある朝遅く、どこかの首都で眼がさめると、栄光の頂上にもいず、大きな褐色のカブト虫にもなっていないけれど、帰国の決心がついているのを発見する。
—–
という書き出しの「首都」を、僕はこれまでサイゴンとばかり思ってきた。それは多分、開口の一連の著作、および香港の三助が発する「アイヤー」という感嘆詞からの連想に拠ったものだろう。しかし数行先の
—–
焼きたてのパンの香りが漂い、飾り窓の燦めきにみたされた大通りへでかけ、いきあたりばったりの航空会社の支店へ入っていき、東京行きの南回りの便をさがして予約する。
—–
まで読み進めば「首都」がサイゴンでないことは明白だ。あるいは以前に読んだときには、そのような誤読はしていなかったかも知れない。それから何十年かのあいだに、自分の脳が勝手に「変換」を起こした可能性は、ある。
ところで僕は「澡堂」は、台北でしか経験をしたことがない。香港には、いつごろまで存在しただろう。
「玉、砕ける」はむかしの小さな活字によるものとしても、文庫本で15ページたらずの短さだから、端から端まで読んでも30分はかからない。そしてこれを本棚に戻せば、早朝の仕事に従うべく、エレベータに乗って1階のボタンを押す。
朝飯 若布と玉葱の酢の物、スパムと菠薐草のソテー、しょうがのたまり漬、メシ、若布と万能葱の味噌汁
昼飯 「ふじや」の広東麺
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダ、チーズオムレツのカレーライス、ドライマーティニ、Tio Pepe、家に帰ってからのエクレア、Old Parr(生)