2020.6.18 (木) 知らないままに
「鮨は白身の魚が好きだ」と言った人がいる。「鮨屋で出される白身魚の逐一を判別できるか」とその人に訊いたら「それはできない」と、素直な答えが戻った。
伊集院静が京都に住んでいたときの随筆には、いつも茶花が紹介されていたような気がする。しかもそのほとんどすべては、僕の知らないものだった。僕はほとんどあらゆることに疎い。植物については特に、だ。
先般、強力な武器を手に入れた。スマートフォンで花の画像を撮ると、数秒後にその名を教えてくれるアプリケーションである。それによれば、隠居の梅の木の根元にいつの間にか繁殖した、丸く広い葉を持つ花は大葉擬宝珠だった。そして今、店のモミジの根元に盛んに咲いている白い花はドクダミとのことだった。
ところでこのアプリケーションが、アヤメとショウブとカキツバタの区別をしてくれるかどうかについては、隠居には花菖蒲しか咲かないから試せない。そしてこの日記を書きつつアヤメとショウブとカキツバタについて調べるうち「アヤメを菖蒲とするのは間違い」という説明に行き当たった。
僕の使うワードプロセッサは「あやめ」を「菖蒲」と変換する。よって即、辞書からこの変換を削除する。「アヤメを菖蒲とするのは間違い」が本当のことかどうかについては知らないままに。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、目玉焼き、冷や奴、隠元のおひたし、たまり漬「おばあちゃんのふわふわ大根」、メシ、揚げ湯波と胡瓜の味噌汁
昼飯 玉葱の熱いつゆで食べるざるうどん
晩飯 大根と胡瓜とハムのサラダ、カレー南蛮鍋、麦焼酎「むぎっちょ」とNoilly Prat Dryの東京下町風、“da Luciano”の柚と山椒のジェラート、Old Parr(生)