2020.6.3 (水) 日付
むかしの人は、何にでも日付を入れた。何にでも、と言っては語弊があるかも知れない。ウチでは店に置いたタンスの裏に「明治三拾七年九月 上澤商店 建具師尾谷幸次郎」という墨書が残っている。むかしの人はなぜ、家の中のあれこれに日付を入れたか。
大量生産、大量消費の時代を経て、現在の道具はほとんど消耗品として扱われている。そしてそれらのうちのかなりは、石油を原材料として作られている。しかし昭和の中ごろまで、日常の道具は大抵、木か金属でできていた。耐用年数は現在のものより格段に長かった。ほとんどすべてのものは修理を繰り返しながら使った。ある一定以上の大きさの、主に道具に記された日付は、あるいはそれが「いつ誂えたものか」とか「いつ直したものか」を後に確かめるためのものだったのかも知れない。
きのういわゆる「アベノマスク」が届いた。布でできたアベノマスクは、現在、市場のほとんどを占める使い捨てとは異なって、洗えば何度でも使える。しかしウチでは社員用のものも含めて、マスクは1,800枚ほどを既に備蓄している。
アベノマスクはプラスティックの袋に収められている。墨ははじかれてしまうからマジックインキで日付を入れ、倉庫に置いた古箪笥の奥底にでも仕舞おうか。何十年かを経てそれを発見した誰かは、その日付を見て何を思うだろう。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、目玉焼き、蕗の醤油煮、切り昆布と人参と豚三枚肉の炒り煮、納豆、たまり漬「おばあちゃんのふわふわ大根」、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 若布と長葱の汁で食べるざるうどん
晩飯 浅蜊のバター蒸し、レタスと茹でたブロッコリーを添えた鯛のトマトソースと田舎風パテ、「進々堂」のパン其の一、其の二、「共働学舎」のラクレットを乗せて焼いた其の三、林檎の砂糖煮、Petit Chablis Billaud Simon 2016、Old Parr(生)