2020.6.2 (火) 端境期
「今は端境期なんせ」と、トマトの育つ温室の中で、ユミテマサミさんは言った。兼業農家のユミテさんがウチの蔵で働いていた昭和30年代には、胡瓜、茄子、トマトなどの野菜は、夏以外には食べられなかった。今、それらは年間を通じて食卓に上る。そういう時代になっても野菜には厳然として端境期というものが存在する、そんなことに先日は気づかされた。
一方、葉物の端境期については、僕も明確に意識をしている。カキ菜や菜花といった、大根のそれと似た花を付ける葉物が、農協の直売所や道の駅から一斉に姿を消しつつあるからだ。
なぜそれほど葉物のことを気にするかといえば、味噌や漬物や「たまり」と共に地元の産品を詰め合わせた「おうち料理応援!味噌汁セット」という、今春からはじめてすぐに人気となった商品に、青菜が含まれているからだ。味噌汁と謳っている以上、その青菜は味噌汁に使えるものが望ましい。しかしこれから盛んに出てくるだろう、たとえばモロヘイヤなどは、味噌汁には合わせづらい。
現在、大手の青果店が流通させている葉物には菠薐草や小松菜がある。ピンと張ったセロファンに包まれたそれらの根元には一粒の砂も見あたらず、とても綺麗だ。しかしそのような野菜は、どうもウチの「噌汁セット」には、そぐわない気がする。
中々に悩ましい、今の端境期である。
朝飯 切り昆布と人参と豚三枚肉の炒り煮、牛蒡と人参のきんぴら、蛸と里芋の炊き合わせ、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、生のトマト、たまり漬「おばあちゃんのふわふわ大根」、白粥
昼飯 ソース焼きそば、ごぼうのたまり漬
晩飯 トマトとキウイとレタスのサラダ、鶏肉とマカロニのグラタン、San Pedro Castillo de Molina Sauvignon Blanc 2018、メロン、「共働学舎」のチーズ「笹ゆき」、Old Parr(生)