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お買い物かご

清閑 PERSONAL DIARY

2020.5.9 (土) 初代久太郎

徳川義宣の「迷惑仕り候」に「ボウ」と呼ばれる、アイヌの血を引く案内人のことが、愛情のこもった筆で書かれている。あるときこの殿様は「ボウ」への土産を求めようと、酒屋の前に自転車を停める。徳川農場の、付き従った場長は「ボウ」の好みを知っている。それは「焼酎の中でも一番強く、臭ひも強く舌にピリリとくるほどの酎」だった。値段は昭和30年代ということもあるが「私は一升瓶を二本買った。五百円もしなかったかと思ふ」と記されている。

焼酎は、すこし前の、ことに九州以北の日本人には縁の薄い酒だった。東京の食べ物屋が焼酎を置きだしたのは、せいぜいここ30年ほどのことと記憶する。

ウチでは、本体価格5万円以上の買い物をしてくださったお客様には、地元「片山酒造」の「原酒」を差し上げてきた。ところがいつごろからだろう、日本酒より焼酎を希望されるお客様が増え始めた。今はおなじ片山さんの、酒粕を原料とする焼酎「粕華」のみを用意している。

昨年の初秋、片山さんの純米大吟醸「初代久太郎」をはじめて飲んだ。宴席に僕が持ち込んだものだ。これを、普段はあまり召し上がらない主賓は吟醸グラスで4杯も干した。それだけ美味いということだ。

今月3日、その「初代久太郎」をふたたび手に入れた。「原酒」は剛直な味わいでも、それ以外の片山さんのお酒はおしなべて柔らかい。

「初代久太郎」は美味すぎるから、食前にすこしばかりを嗜み、その後は他の酒に切り替えた方が良さそうな気もする。しかしそう考えながら、つい食中も飲み続けてしまう。

片山さんを知る仲間が東京に集まる機会があれば、僕はこの「初代久太郎」を持参して、皆と飲みたいと思う。


朝飯 茄子の味噌炒り、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、冷や奴、蕪の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、蕗の醤油煮、椎茸の甘辛煮、メシ、万能葱と煎り胡麻の味噌汁
昼飯 蕗の醤油煮、茄子の味噌炒り、昆布の佃煮、なめこのたまり炊によるお茶漬け
晩飯 鮭の麹漬け、鰯の梅煮、キャベツのおひたしを添えた松かさ焼き、炒り豆腐、なめこのたまり炊、たけのこごはん、「片山酒造」の純米吟醸「初代久太郎」(冷や)、エクレア、Old Parr(生)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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