2020.5.5 (火) いつの間に
6時前、食堂の食器棚に置いたiPhoneが鳴る。かけてきたのは家内で、隠居に新聞紙を持って来て欲しいというのが、その内容だった。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の「一汁五菜弁当」を作る日は、家内は4時に起きる。そしてひとりそそくさと朝食を済ませ、5時前には隠居へ向かう。今日は、揚げ物をする際に床に敷く新聞紙を持参し忘れたらしい。
よって即、階下に降りる。そして買い物のたびに溜まる紙袋を籠から選び、その脇に重ねてある古新聞を多めに詰め込む。社員用の通用口から隠居の柴折り戸までの距離は、100メートルほどのものだろうか。早朝から半袖のポロシャツ1枚で歩ける暖かさが有り難い。
家内が隠居に籠もる朝は、食事はひとりで用意する。テレビの天気予報は本日の、午前の穏やかさと午後からの急変を伝えている。
「そうであれば」と、午前の早い時間にふたたび隠居へ行く。10日ほど前にはアルマジロのような不気味なつぼみを天に向けていた藤が、今日は見事に花房を垂らしている。その藤棚の横を流れる池水の最上流、緑の濃いあたりには、シャクナゲが満開になっている。藤もシャクナゲも山桜の青葉も、いずれも「いつの間に」と驚くほどのあでやかさ、鮮やかさだ。
4月7日から明日5月6日までを期限とした新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、5月末まで延長された。それを受けて午後、臨時の場長会議を開く。そして現在の、出勤者数を平時の半分に絞る対策を、6月20日まで続けることを決める。日に余裕を持たせたのは、大事を取ってのことだ。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、土曜日、日曜日、月曜日の、週に3日の営業だ。よってこちらの方は、6月22日の月曜日まで、営業の自粛を延ばす。これに伴い「隠居うわさわ」の「一汁五菜弁当」も、週に3日のお作りとお届けを続けることになるだろう。
どこもかしこも非常事態の初夏である。
朝飯 若竹煮、菠薐草の胡麻和え、だし巻き玉子、刻んだ玉葱を薬味にした納豆、蕗の醤油煮、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと若布の味噌汁
昼飯 じゃこ山椒、梅干し、鮭の麹漬け、蕗の醤油煮、菠薐草の胡麻和え、ごぼうのたまり漬によるお茶漬け
晩飯 玉葱とにんにくとブロッコリーとシメジのスープ、チーズと玉葱の無発酵パン、林檎とキウイとレタスのサラダを添えたトマトと玉葱とピーマンのドレッシングで食べるビーフステーキ、バンブー、飲みさしの赤ワインのうちのSan Pedro Castillo de Molina Cabernet Sauvignon 2017、チーズ、Old Parr(生)