2020.2.18 (火) おなじ活劇でも
起きて食堂に出ると、食器棚の電波時計は5時を1分、過ぎていた。「深夜を1分、過ぎていた」なら格好はついても、5時を過ぎてからの活動には著しい「損した感」を覚えざるを得ない。
「深夜プラス1」を「ハードボイルド小説の金字塔」と激賞するのは内藤陳だけではない。僕も大変な意気込みを以てこれを読み始めた。しかしまったく面白く感じられなかった。むしろ退屈だった。僕には多分、ハードボイルドという分野は合っていないのだ。国境を越えての逃亡劇に、シトロエンのDSを使うあたりにも違和感を覚えた。いかにも逃げ遅れて捕まりそうなクルマではないか。
「ジャズに最も似合いの食べ物は天ぷらだ」という原田芳雄の発言を「自分の好きなものを並べただけ」と茶化してみせたのはタモリだ。ギャビン・ライアルは洋の東西を分かたず売れた作家だから「シトロエンのDSが好きだっただけ」ではないだろう。もちろん、ここにメルセデスを持ってきても面白くも何ともないことは僕も分かっている。しかし「それにしても」の感は拭えない。
本棚の最上段、つまり「2度は読まないかも知れないものの、捨てるには惜しい」という中に、やはりクルマを使った活劇の、景山民夫による「虎口からの脱出」がある。それを取り出し、裏表紙から数ページを戻ってみると「1987.5.31-6.3」の記録があった。二段組248ページを4日で読み終えたのだから面白かったのだろう。「深夜プラス1」の方は処分をしてしまったのか、どこにも見あたらない。
ところでこの日記を書きながら「深夜プラス1」は、2016年に新訳の出ていたことを知る。「だったら」と一瞬、考え「でもな」と、その気持ちを打ち消す。
朝飯 鮭の焼き漬け、コールスロー、目玉焼き、菜花と小柱の辛子和え、牛蒡と人参のきんぴら、ごぼうのたまり漬、メシ、菠薐草の味噌汁
昼飯 バターとママレードとブルーベリージャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ヨーグルト
晩飯 レタスと生のトマトとコールスローと玉子焼きとハムのソテー、スパゲティナポリタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016