2020.1.19 (日) 鮟鱇鍋も人間も
幻想小説、というものが苦手だ。内田百閒のそれは、最後まで読み通せた試しがない。稲垣足穂は開いてすぐに閉じた。ガルシア・マルケスの「エレンディラ」は、どうにか読めた。とはいえ耐えに耐えつつようやく最後のページに至っただけで、正確には、読めたの範疇には入らない。
もうひとつ、どうにも読めないのが、地中海の海沿いに展開する物語だ。書き手がル・カレであれ池田満寿夫であれ、それは変わらない。そして、その理由については分からない。
栃木県味噌工業協同組合の新年会は、毎年、茨城県の海沿いに一泊して開かれる。地中海の海沿いを舞台にした小説は読めなくても、茨城県の海沿いで食べる鮟鱇鍋、特に肝を溶かし込んだどぶ汁は美味い。鮟鱇は、肝や胃袋、卵巣や皮、ヒレの付け根のあたりが好きだ。
そのどぶ汁の、肉などには目もくれず、好きな部分のみ拾いつつ燗酒を飲む。ふと「鮟鱇鍋も人間も、グロテスクな部分が面白い」という、箴言めいたことが頭に浮かぶ。しかし即「人間については、面白いじゃ済まねぇわな」と、考えを改める。
朝飯 切り昆布と豚三枚肉の炒り煮、納豆、油揚げと蕪の葉とじゃこの炒り煮、茹でたブロッコリー、白菜漬け、らっきょうのたまり漬、メシ、トマトと榎茸と茎若布の味噌汁
昼飯 蕎麦
晩飯 「リゾート大洗まつもと」の鮟鱇のフライ、鮟鱇のどぶ汁、他あれこれ、日本酒(燗)