2019.11.21 (木) 執着
おとといの日記にあるソーマ歯科室の待合室には、大げさに言えば、すこし高級なイタリア料理屋のウェイティングバーのような雰囲気がある。隅に隠された手洗い鉢には、ブランドもののハンドタオルが折りたたんで重ねられている。僕はそこで口をゆすぎつつ「まったくオヤヂってのはしょうがねぇな」と言われても仕方のないことながら、そのタオルを濡らして固く絞り、汗をかいた顔や首筋を拭った。
きのうの朝、荷物をまとめようとして、いつも持ち歩いている洗口液の瓶の無いことに気づいた。記憶を辿ってみれば、置き忘れたのはソーマ歯科室の手洗いに違いない。上野公園のスターバックスコーヒーからソーマ歯科室に電話を入れる。幸いその小さな瓶は、捨てずに取り置いてもらっていた。僕はそれをウチまで送ってくれるよう、受付の人に頼んだ。中身を捨てれば封筒でも送れるだろうと考えてのことだ。
2010年の秋に、バンコクでメリディアンホテルに泊まった。洗口液は、部屋のアメニティとしてあったものだ。洗口液を持ち運ぶに理想的なコンパクトさと丈夫さを備えた瓶は、どこにでもあるというものではない。以来、9年のあいだ愛用をしてきた。放念するにはあまりに惜しい。
その瓶は、こともあろうに赤い、つまり高い方のレターパックに入れられて、早くも今朝、届けられた。ソーマ歯科室には、他人にとっては何の価値も無いものに、520円も使わせてしまった。即、郵便局へ行って、青い、つまり安い方のレターパックを買って戻る。そこに礼状と日光味噌のフリーズドライ味噌汁”with LOVE”を平たく詰める。それをふたたび郵便局へ持ち込んで投函する。
「一体全体、なにやってんだ」である。余談ながら、バンコクのメリディアンホテルの朝飯は、とても美味い。
朝飯 ほうれん草のおひたし、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、紅白なます、胡瓜のぬか漬け、しいたけのたまり炊、メシ、大根と水菜とベーコンの味噌汁
昼飯 きのうの残りの炊き込みごはん、同じくラタトゥイユと鶏肉のコーンフレーク炒め、朝とおなじ具で新しく誂えた味噌汁、たまり漬の盛り合わせ
晩飯 柿と生ハムとチーズ、ペンネと牛挽き肉のグラタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、自由学園のクッキー、Old Parr(生)