2019.9.8 (日) 赫奕たる逆行
高等学校の何年生のときかは覚えていない、とにかく国語の授業で「自分の好きな季節とその理由を述べよ」と、ヤマグチヒカル先生は口頭で我々に問われた。「夏。理由は泳げるから」と答えたのは誰だっただろう。「そういうことではなくて、情緒的なところで」との先生の助言を受けた別の誰かが「夏。なにか、草がボーボー生えて、乾いた地面に写る自分の影が濃くて短くて…」と、いまだまとまりきっていない自分の考えを脳から放出した。先生は「そうそう、そういうこと」と、頬を少し緩められたような気がする。
いずれにしても、10代の男子が好む季節は夏が圧倒的だったように思う。四季の中で夏を最も好む僕は、その部分のみ、いまだ10代を引きずっているのかも知れない。そして今日も、草木の濃く繁りすぎた隠居に蔵見学のお客様をご案内する。
18時の終業時間が近づくころ製造現場に向かいながら、社内で最も太い雨水パイプのちかくで水の流れる音に気づく。普段は感じたことのない音だけに不審に思い、裏手から中二階の屋上に上がってみる。するとそこに設置したタンクの一部に管の脱落があって、水が勢いよく噴き出している。即、長男を呼ぶ。
屋上に長男が来たところで僕は蔵に戻り、フクダナオブミ製造顧問と共にポンプまわりを確認する。とにかく屋上のタンクに圧送される水を止めなくてはならない。製造顧問は元栓を閉め、僕は自動で動いているポンプのスイッチを切った。
今度は脚立を担いで屋上への階段を昇る。そしてタンクの上によじ登っている長男のところに僕も行く。外れた管の復旧は素人には無理だ。何千リットルあるかは不明ながら、タンクの水がすべて無くなれば、明日の修理は楽になるだろう。そう考えて、取りあえずはその現場を離れる。
朝飯 大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、刻みオクラの鰹節かけ、生のトマト、ピーマンと茄子のソテー、納豆、胡瓜のぬか漬け、塩らっきょう「夏太郎」、メシ、茗荷とオクラの味噌汁
昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン
晩飯 塩らっきょう「夏太郎」、茄子の揚げだし、茹でたオクラと日光味噌「ひしお」を添えた鶏もも肉の網焼き、鶏そぼろ肉のつゆで食べる冷や素麺、ABSOLUTE VODKA(ソーダ割り)