2019.9.2 (月) 慨嘆
室町三丁目で簡単な仕事を済ませ、中央通りに出たところで街へ向けてシャッターを切る。リコーGRDのディスプレイに現れた撮ったばかりの画像は、まるで濃霧の中にいるように見えた。しかし実際の街は、夏から秋へ移りつつあるころに特有の澄んだ空気のなかで、光や影を明確にしている。「はて面妖なことだ」と手首を返すと、曇っているのは画像でもディスプレイでもなくレンズだった。先ほどまでいたビルの中は、背広を着ている人にさえ寒いほどに冷房が効いていた。そこからいきなり外へ出たことによる結露である。
地下鉄銀座線で新橋に移動をして、7月26日以来の散髪をする。僕のような坊主頭の散髪は、理想としては3週間に1度、延ばしても1ヶ月に1度が限界のところ、今回は繁忙に紛れて間が開きすぎた。次は、タイの最北部で床屋にかかることになるだろう。
いまだ飲み屋がノレンを出し始める前に北千住に戻る。東口から学園通りに出てしばし散策をする。右手に古本屋のあることに気づく。外に出された古書の背表紙をしばし眺めつつ店の戸を引く。書架に並ぶ本を見るうち「買ってもいいな」と思うものを見つける。価格は1,200円。外へ出てiPhoneを取り出し、その書名をgoogleに入れる。おなじ本がamazonには57円で出ている。「何だかなー」と感じつつ駅の方へときびすを返す。
「何だかなー」とはもちろん、古本屋に対する感情ではない。強いて言えば、これまでの諸々が破壊されつつある、あるいは既にして破壊されてしまった世の中に対しての慨嘆かも知れない。
朝飯 細切り人参の炒り煮、オクラを薬味にした納豆、焼きトマトを添えた目玉焼き、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、厚揚げ豆腐とオクラの味噌汁
昼飯 東武日光線下今市駅のキヨスクで買った弁当
晩飯 「加賀屋北千住店」のあれや、これや、それや、チューハイ