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清閑 PERSONAL DIARY

2016.12.29 (木) 阪納誠一メモリアル走行会

クルマの催しは多く、暑くもなく寒くもない季節の週末、連休などあれば特にそのときを選んで開かれる。それはすなわちウチの店の繁忙日に重なるから、出て行くことは憚られる。クリスマスと大晦日のあいだのエアポケットのような日に開催される「阪納誠一メモリアル走行会」が、今のところは参加できる唯一である。

正確な年は覚えていない、おそらく1995年ころを最後として乗らなくなった”BUGATTI 35T”のエンジンにふたたび火を入れたのは、2006年のこのイベントに臨んでのことだった。以降、休みなく参加を続けたのは勿論、自分の愉しみのためではあるけれど、もうひとつは、1926年製の遺産を動体保存する意味もある。

クルマをサーキットで走らせるときには、クルマと自分、その双方の限界に限りなく近づこうとすることこそが僕の愉しみである。その行いは「愉しみ」ということばとは相反して恐怖と肉体の苦痛を伴う。「今年で引退か」とも考えつつ出走を申し込んだ経緯が今回はあった。

そうして1926年当時とおなじパターンの、しかし新品のタイヤを履いた青いレーシングカーのギヤをローに入れ、朝9時のツインリンクもてぎ西コースへと出て行く。

ウチのクルマに与えられた時間は午前と午後で計130分。そのうちの110分を目一杯、走る。エンジンの調子はこの11年間で最も良く、4速4,500回転を超えてなお回ろうとする。昨年あった振動は新品のタイヤによって消えた。そのタイヤも、シケイン直後の左コーナーを除けば他はすべて右コーナーという西コースの設計により、左の肩の部分のみが極端に減っていく

最後の20分間は、2006年以来、これを修復、整備し続けているタシロジュンイチさんに操縦席を預け、現在の状態を確認してもらう。後輪のブレーキは、シューを交換する必要があるかも知れない。

観客席の向こうに冬の日が沈むころ、いつも来てくれるモモイシンタローさんの淹れてくれたお茶をいただき、パドックを去る。「今年で引退」は止めた。左右のタイヤを入れ替えて、来年もここへ来ようと思う


朝飯 「ホテルツインリンク」の朝のブッフェ
昼飯 “Paddock Cafe”のカレーライス、ミニサラダ
晩飯 4種の野菜のサラダ、ロールキャベツ、“Qué bonito cacareaba2013”アップルパイ、”Glenfiddich”(生)

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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