2019.8.3 (土) 花火
ある夏の宵に小倉町の居酒屋「和光」で飲んでいると、遠く大谷川の河川敷に上がる花火の音が、開け放たれた戸や窓から聞こえてきた。そのドンという空気の震えを背中に受けつつ、花火とは、見ずに音のみ聞くと、情緒の格段に高くなることを知った。そしてなぜか、志ん生の「大津絵」を聴くたび泣いたという小泉信三のことを思い出した。
以来、花火を見ることは、あまりしなくなった。「音が聞こえりゃいいじゃねぇか」と思うようになった。そして今日の夜の肴はきのうのうちに決めておいた。音だけを聴く花火が待ち遠しかったからだ。
「自分はやはり都会に住みたい、田舎に住んでも美味いのは野菜くらいだから」と、むかしある食通が言った。野菜が美味りゃ上出来じゃねぇかと思う。1982年にカトマンドゥで知り合った東京農業大学山岳部出身のアキモトという人は実家が山口県の海沿いにあって、子供のころから魚は刺身でしか食べたことがないと言っていた。魚が美味りゃ上出来じゃねぇかと思う。
開け放った窓から聞こえる花火の音を聴きつつ飲む焼酎のソーダ割りは、しごく美味い。
朝飯 鶏卵雑炊、なめこのたまり炊、胡瓜のぬか漬け、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 「金谷ホテルベーカリー」の2種のパン、ヨーグルト
晩飯 冷やしトマト、なめこのたまり炊、揚げ茄子、「本物のワインで漬けた本物のワインらっきょう”rubis d’or”」の刻みを混ぜ込んだツナマヨピーマン、自作のソースを添えたサイコロステーキ、「キンミヤ焼酎」のソーダ割り