2019.7.14 (日) 子供神輿の巡行
16時からの蔵見学は、インターネットでのご予約だった。うっかり忘れて外出などしないよう、忘備のためのポストイットを、数日前から事務机の電子卓上計算機に貼っておいた。
朝、電話が鳴って受話器を取ると、本日10時から蔵見学はできるか、とのお問い合わせだった。快諾をして受話器を置く。そしてこれまたそれをポストイットに記して、やはり電子卓上計算機に貼る。
「はやくお着きになったということで、蔵見学のお客様が見えました」と、9時15分に販売係のタカハシカナエさんが事務室に顔を出す。まさか「10時までお待ちください」とは言えない。しかし準備はいまだ整っていない。大急ぎで百数十メートルを走って日曜日は作業する人のいない蔵の明かりを点し、その蔵の脇の枝折戸から隠居に入って座敷の明かりを灯す。また、辰巳に面した門を開ける。
御一行は、日光に遊びにいらっしゃったものの雨で行くところもなく、検索エンジンに頼ったところ、ウチの蔵見学に行き当たったとのことだった。2013年に102歳で亡くなったおばちゃんが子供のころに住んでいた、およそ150年ほど前に建てられた建物や、あるいは蔵の最奥部を見ていただいたお客様はずいぶんと喜ばれ、買い物もたくさんしてくださった。
僕は、昼食はすべての社員が昼の休憩から現場に戻ってから摂る。4階の食堂にいると館内電話が鳴る。「16時に蔵見学を予約されたお客様がいらっしゃいました」と、販売係のハセガワタツヤ君が言う。時刻は14時30分。まさか「16時までお待ちください」とは言えない。お客様には店でお茶をお飲みになりながらお待ちいただくよう伝え、即、階下に降りる。そして百数十メートルを走って藏の灯を点し、その脇の枝折戸から… と、朝とおなじことをせわしなく行う。
お客様は、この連休中は鬼怒川温泉に連泊をされながら、日光周辺をお歩きになっているとのことだった。そして来週の日曜日には、長男の作る料理を東京でお召し上がりになるという。僕の知らないところで、あれやこれやが動いているらしい。
さて16時にご予約のお客様が14時30分にお見えになって気が気でなかったのは、今日が八坂祭の最終日で、子供神輿の町内巡行が、その時間に予定されていたからだ。神輿が来れば賽銭を上げなくてはならない。春日町1丁目の、日光街道を隔てて東と西の子供神輿2基は、幸いにして15時をだいぶ過ぎてからやってきた。その子供神輿を担いでいる多くは子供ではなく、日光で働くベトナムの若い人たちだ。
南の国々は「生きよう、生きよう」としている。日本は「死ぬまい、死ぬまい」としている。経済が豊かになると、人はなぜ子供を生み育てなくなるか、それが不思議でならない。
朝飯 蓮根のきんぴら、切り昆布の炒め煮、納豆、牛肉の時雨煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、胡瓜のぬか漬け、鶏レバの甘辛煮、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 「ユタの店」のざる担々麺、杏仁豆腐
晩飯 キムチ鍋、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、胡瓜のぬか漬け、芋焼酎「赤利右衛門」(ソーダ割り)