2019.7.9 (火) 長梅雨
家の2階には、骨董屋のような高級なものではない、いわゆる道具屋にも引き取りを断られるたぐいのガラクタ、特に食器が山のように積まれている。それらは、数十人を集めての宴会が旅館や料理屋ではなく、家で行われていた時代のものと思われる。兎に角、道具屋も引き取らない駄物が何十年、否、古いものなら100年を越えるだろうあいだ空間を占領し続けるのはいかがなものかと考え、ここしばらくは、細々と捨てることを続けてきた。
今日も長男とその、ほこりにまみれての作業をしつつ、塗りのお盆数十枚を収めた木箱の奥に、絵の入っているらしい薄いダンボール箱を見つけた。その箱の中の、更に黄色い布袋に収められていたのは川上澄生の版画で、上部には「栃木懸民藝地圖」の文字がある。川上澄生といえば南蛮物が有名で、今回のよう絵地図は初めて目にした。明かりに近づけ見ると、残念なことにカビに侵されている。宝の持ち腐れとはこのことだ。しかしせっかくの出物にて、長男はこれを店に飾るという。
額のガラスのみアルコールで拭かれたその版画は、店の奥の壁に提げられると、大いに悪くない。後悔先に立たずで、今さら嘆いても仕方はないが、つくづくカビが惜しまれる。
夕刻は店の中にいても半袖シャツ1枚では耐え難い気温の低さにて、ポロシャツの上に長袖のTシャツを重ねた。
本日最後のお客様は、バスを降りるなり、その全員がスマートフォンで店の外観を撮り始めた。バスのフロントガラスの内側には、その御一行が中国語圏の、建築関係の方々であることを示す漢字があった。御一行は今夜、鬼怒川温泉の旅館でおつまみになさるらっきょうのたまり漬、それから帰国時にお持ち帰りになる「日光味噌梅太郎」の赤味噌と白味噌をお買い上げくださった。長梅雨の、恨まれるところである。
朝飯 生のトマト、揚げ湯波と小松菜の炊合せ、目玉焼き、納豆、胡瓜のぬか漬け、らっきょうのたまり漬、メシ、トマトと茗荷の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 春雨サラダ、厚揚げ豆腐とピーマンと椎茸の牡蠣油炒め、鳥レバーの豆鼓炒め、木須肉、茗荷のたまり漬、芋焼酎「赤利右衛門」(お湯割り)、蓮根菓子「西湖」、Petit Chablis Billaud Simon 2016、レーズンウイッチ、Old Parr(生)