2019.4.24 (水) 道具を見送る
むかしオートバイで山の中を走る会に入っていた。会に入るためにはオートバイを手に入れる必要がある。その会では、オートバイは、ある特定の店で買うことになっていた。しかし僕は、その店ではオートバイを買う気がしなかった。店の裏庭には工具が散らばっていて、オーナーはその工具をタイヤで踏みつけながら、オートバイに乗る練習をしていた。
一方、東京から日光に移り住み、古典車の修復家として一時代を築いたバンノーセーイチさんは、毎年、大晦日にはスナップオンの工具を箱に整頓し、酒を注いで感謝の意を表していた。
たまり漬の袋の口を、それまでの輪ゴムから針金で結束する形に変えたのは、大阪万国博覧会の前夜、つまり1969年のことと記憶する。以来、その形態はことしの3月31日まで、実に半世紀のあいだ続いた。真空包装機が導入されたことにより使われなくなった結束機は9台。そのうちの2台は取り置き、残りの7台は、これまで維持管理をしてくれてきたエスワイ産業に譲ることとした。
蔵の奥にズラリと並べられた7台の結束機には、僕が酒を注ぎ、長男が塩を盛った。そうしてエスワイ産業のサイトータケシさんの先導により、集まった社員たちと、その7台に二礼二拍手一礼をした。
サイトーさんは真新しいトラックに7台の結束機を載せ、北方に去った。蔵の中は隨分と片付いて、気分は大いに悪くない。
朝飯 塩昆布、塩鮭、梅びしお、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、ふきのとうのたまり漬、らっきょうのたまり漬による雑炊
昼飯 「大貫屋」の味噌ラーメン
晩飯 冷や奴、春雨サラダ、「百德食品公司」の豆板醤を添えた水餃子、文旦、チューハイ