2019.2.25 (月) 全然イケる
「地酒”BLACK DEATH”のおつまみとして、あなたもこの名物に挑戦してみませんか」と書かれた黒板を見て、その「名物」とやらを試してみたところ、自分は平気だったけれど、おなじテーブルの仲間たちは辟易しながら二度と手を出さなかったと、先般、アイスランドを旅した家内に聞いた。
子供のころの記憶を辿れば、世界地図にあるアイスランドは、海岸線の陸側の縁こそ緑色だが、残りの大部分は真っ白に塗りつぶされて、まるで氷の塊のように感じられた。しかし家内によれば、アイスランドは地熱により日本よりよほど暖かいのだという。
家内が買って帰ったその「名物」には、僕には読めないアイスランド語と共に”Shark”の文字があった。「鮫」だけでは明らかに説明不足だ。僕はサイコロ状に刻まれたそれを5つ、豆皿に載せた。”BLACK DEATH”などという酒はもちろん家には無いからウォッカを用意した。
その「鮫」の食感は筋のある蒲鉾のようなもので「日本人なら全然、イケるよ」と咀嚼を続けると、そのうち口腔から鼻孔へアンモニア臭が抜け、その臭いは強くなるばかりだ。どれほど強いかといえば、蚊に刺されたときに塗る「キンカン」の瓶に鼻を近づけたときのそれと、ほぼ変わらない。しかしその臭いはウォッカで舌を洗えば綺麗さっぱり消え、だから僕は即、ふたつめの固まりに楊枝を延ばした。
明晩はひとりメシ。となればまた、僕はこの「鮫」を豆皿に盛るに違いない。日本人なら全然、イケる味である。
朝飯 鮭の麹漬け、大根と胡瓜と生姜としその実の醤油漬け、ふきのとうのたまり漬、じゃこ、キクラゲと鱈子の佃煮によるお茶漬け
昼飯 ハムとチーズのパン、ヨーグルト、コーヒー
晩飯 鰊の油漬け、キャビア風の魚卵、鮫の発酵食品ハカール、”ABSOLUT VODKA”(生)、キャベツと人参とエノキダケのスープ、食パン、ジャガイモのベーコン焼き、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”、カステラ、”Old Parr”(生)