2019.2.13 (水) 二宮翁夜話
年に1度しか収穫されない農作物を、発酵という微生物の働きにより風味と姿を調え、年間を通じて可能な限り高い質を保ちつつ蔵出しを続ける、という当方の仕事には、絶え間のない調整が必要になる。本日は「日光味噌のたまり」に漬ける前のらっきょう2種の官能試験をするようフクダナオブミ製造顧問に頼まれ、それを午前のうちに行う。結果は双方ともに合格。とても嬉しい。
夜はいそいそと料理に取りかかる。きのう買ったパンを切ってオーブンに入れる。昼のうちから解凍しておいたソーセージを包丁で縦割りにし、それを鉄板で焼く。刻んだ温野菜は、数日前の残りものだ。皿にはあらかじめ熱湯を注いで温めておく。ワインは澱を完璧に落とすため、数週間前から寒い部屋に立ててあった。
そうして暖房の効いた部屋で、ひとり夕食を摂る。一度では到底やっつけられないだろうと予想したパンは、切っては焼き、切っては焼きを繰り返すうち、結局は丸ごとを食べ尽くしてしまった。
酔えば後片付けが面倒になる。「明日の朝にまわそうか」という思いが一瞬、頭に浮かんだのち、高等学校のときに読んだ「二宮翁夜話」を思い出す。「たとえ明日の糧食が無かろうと、今夜の食器は今夜のうちに洗うべし」という意味のことが、その本のどこかにはあったはずだ。
挽き肉のこびりついた鉄板を洗い、使い終えた風呂を洗い、僕としては結構おそい時間に寝室に入る。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、煮奴の「椎茸のたまり炊き」のせ、生玉子、切り昆布の炒り煮、ふきのとうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とトマトと二十日大根の葉の味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」のサンラーメン
晩飯 牡蠣のウースターソース炒り、”TIO PEPE”、パン、温野菜を添えた焼きソーセージ、“Salitage Pemberton 1999”