2019.1.11 (金) このときばかりは珍しく
本日の日本経済新聞朝刊第36面の左下に「つなぐマスター」という見出しを認め、本文を読み始める。先ずは2行目から3行目にかけての「…小さなバーが東京・湯島にある」のところで「EST!のことだろうな」と、当たりをつけた。
あるとき、このバーのカウンターで長男と飲んでいると、我々の会話を聞いていたらしい右隣から「失礼ですが、自由学園の方ですか」と声をかけられた。二言三言を交わして、その隣席は僕の後輩であることが分かった。後輩であれば、次の一杯は僕がおごるのが常道だろう。しかし後輩はそれを察してか、僕に気づかれないよう勘定を済ませ、一礼の後に去った。
小さな学校の卒業生が偶然、隣同士に座る。そのような吸引力のあるバーは、湯島では”EST!”しかないだろうと、更に文字を目で追う。すると「欧風料理と看板を出してはいるが…」と続いたから「なるほど、だったらあちらか」と別の店が思い当たった。
湯島天神から女坂を下り、通りに出たところで左に折れると、春日通りの手前左に「シンスケ」の柳の木が見える。それに対してこの店は、おなじ湯島天神から男坂を下って数十メートル先の左手にある。
小ぢんまりとして目立たない、しかも自分の知る店を新聞に見つけて意外の念に打たれつつ更に読み進むと「ここで津田塾大学理事長の島田精一さんに戴いた本はいつも持ち歩いている」の一節が現れた。
実は僕もこの店で、その日、初めて会った島田精一に本を手渡された。島田精一と敬称を付けないのは、この優れた財界人と僕とのあいだには広い隔たりがあると感じているからだ。とにかく、僕としては非常に珍しいことながら、その本は即、読んだ。そしてこれまた非常に珍しいことながら、即、礼状を書いて、それを店のマスターに托した。
そうしたところ、すかさず別の著作が送られてきた。それも即、読んだ。今度は住所が分かっているから、礼状は直に送付した。2冊目の本は、そのとき社会人になろうとしていた長男に即、譲った。この本が長男の血肉の一部になったことは疑いようもない。
湯島では大抵「シンスケ」で飲む。これを機に、たまには「欧風料理と看板を出してはいるが…」の方へも回ってみようかと思う。
朝飯 納豆、大根おろし、ベーコンエッグ、鮭の昆布巻き、冷や奴、ふきのとうのたまり漬、メシ、豆腐とサニーレタスの味噌汁
昼飯 2種のおむすび
晩飯 蓮根のきんぴら、厚揚げ豆腐と小松菜の炊き合わせ、ポテトサラダ、鹿肉と茸の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」炒め、黒豆、芋焼酎「櫻泉」(お湯割り)