2018.12.11 (火) 敢えて相場に逆らって
瓦屋根には銅の雨樋と、相場は決まっている。そうではあるけれど、蔵や店の雨樋については、ここ何年かをかけて、次々とプラスティック製のそれに換えてきた。
専門家によれば、雨は瓦の酸性の成分を溶かしつつ雨樋に流れ込み、雨樋は、その酸により徐々に浸食されるという。脚立に登って実際に雨樋を見てみると、瓦の波形に凹んだところから雨の落ちる部分は特に、その厚みを薄くしていることが分かる。
社内において、最後まで銅製の孤塁を守ってきたのは店の、犬走りにかけられた庇の雨樋だった。この雨樋は、ここ40年のあいだにバスのような背の高い車両に押されたり当てられたりして隨分といびつになっていたところ、先般は巨大なキャンピングカーが雨樋を押しつぶしつつ、その先の瓦まで割るほど強くぶつかって、いよいよ放っておけなくなった。
キャンピングカーの持ち主は幸い、みずから名乗り出てくださって、修理には保険が利くことになった。修理を依頼した業者によれば、銅製のそれを叩いて直すより、いっそすべてプラスティック製に換えてしまった方が安上がりだから、保険会社には自分が交渉すると、請け負ってくれた。
それからひとつき半ほどが経っただろうか。今朝は遂に、その雨樋の交換作業が始まった。軒先から外された雨樋は、長いあいだ酸に侵されて、大げさに言えば紙のように薄くなっていた。半日かかると教えられていた工事は幸い、3時間ほどで完了した。
瓦屋根には銅の雨樋と相場は決まっているものの、プラスティック製の雨樋は、そうと教えられなければ誰も気づかないほどの自然さで庇に収まった。「私のクルマでぶつけてしまった」と名乗り出てくださったお客様には、何かお礼の品をお送りしたい気分である。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、温泉玉子、春菊のおひたし、生のトマト、松前漬け、ごぼうのたまり漬、鶏レヴァの甘辛煮、メシ、揚げ湯波とほうれん草の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 “Parrot”のイタリア風ハンバーグ、“evodia”、家に帰ってからのパイ、銘柄不明のコニャック