2018.10.5 (金) タイ日記(11日目)
チェンライからバンコクに南下して、空気の蒸し暑さに驚いた。チェンライの気温は常時、23℃から高くてもせいぜい28℃あたりを維持していたように思う。それがいきなりの30℃超えである。それでも夜は、ホテルの廊下や他の部屋が冷えているせいか、自室に冷房を回す必要はなかった。
8時を前にしてタイパンツにゴム草履を引っかけ、外へ出る。そしてチャルンクルン通りを北に歩く。シーロム通りとの交差点手前左側にあるいつもの店で、汁麺を朝食にする。
北欧に住む人のように太陽に飢えているわけではない。しかし朝の雲は大きく裂け目を開き、地上には日が差している。にもかかわらず、部屋のベランダから遙か下に見おろすプールに人影は見えない。即、着替えてプールサイドへ行く。そしてここの寝椅子で2時間ほども本を読む。
昼は一旦、着替えて外に出る。チャルンクルン通りを朝とは反対の南へ歩き、左手にsoi57のパクソイを過ぎると、大きめの消防署が見えてくる。これを過ぎてすぐの左側に、好きなカオマンガイ屋がある。頼むのはいつも、茹で鶏と揚げ鶏を半分ずつごはんの載せたものだ。この店はスープも美味い。そのスープの、まるで鈴虫の鳴き声を思わせるような涼やかな香りのもとは何だろう。
午後は荷造りを早々に済ませ、ふたたびプールサイドに降りる。外に裸で寝転がって本を読むなどの贅沢は、今日を過ぎれば、すくなくともこの先半年は望めないのだ。
ホテルは16時まで居残れるレイトチェックアウトにしておいた。ベル係に荷物を預け、先ずは朝の汁麺屋ちかくのマッサージ屋で脚と肩のマッサージを1時間だけ受ける。これはまぁ、夕食までの、時間調整のようなものだ。
実は昨年、サパーンタクシンから舟でチャオプラヤ川を遡る途中、右手に掘っ立て小屋のようなバーのあることに気づいた。舟に乗るたび観察をする限り、バーはいつも白人で鈴なりだった。興味を惹かれ、ことしの3月、泊まっていたオリエンタルホテルから歩いてこのバーを探してみた。バーはチャルンクルン通りsoi42/1の突き当たり、シャングリラホテルの宿泊棟とペニンシュラホテルの専用船着場のあいだに見つかった。
マッサージ屋からチャルンクルン通りを西へと渡り、すこし南に下ってsoi42/1に入る。店はチャオプラヤ川の護岸を跨いで越えたところを板張りの床にしていた。その、川に突き出すようにして渡されたカウンターに着き、ハウスワインの白を頼む。日暮れ時の川風は爽やかだ。
ワインは1杯に留めてビールに換えるころ、いきなり、無数の雨滴が空から斜めに線を引いて、此岸と彼岸とのあいだに紗の幕を張った。更に、その幕はまたたく間に川面を渡り、僕のビールと空心菜炒めに襲いかかろうとしている。
肩を叩かれて振り向くと、店のオネーサンは早くも奥まったところに僕の席を作っていた。「カウンターの方が良かったのに…」などと逆らうことはできない。ビールと空心菜には早くも、細かい雨の粒が風を伴って盛んに降りかかっているのだ。「驟雨沛然とはこのことか」と、小さな浮き桟橋の向こうに煙るチャオプラヤ川を、新しい席からしばし眺める。
雨は、シンハビールの大瓶を飲みきるころには幸い上がった。そこここに水たまりのできたsoi42/1からチャルンクルン通りに出てホテルに戻る。そして預けた荷物を受け取り、BTSの駅サパーンタクシンへのエスカレータを上がる。
19:05 ナショナルスタジアム行きの車両が発車する。
19:30 パヤタイ駅では今日も、プラットフォームに上がる人数を制限している。
19:40 スワンナプーム空港行きの車両が発車する。
車窓から見える高速道路は、空港から街へ向かう路線も、また街から空港へ向かう路線も大渋滞をしている。金曜日の夜に、街と空港との間をクルマで移動することは避けるべし。これは、おととしの10月に得た教訓である。
20:10 スワンナプーム空港着。
20:30 チェックインを完了。
20:38 保安検査場を抜ける。
20:45 パスポートコントロールを抜ける。係官と旅客を隔てるアクリル板に”NO TIPS PLEASE”の張り紙をはじめて目にする。
21:29 指定された搭乗口D1Aに達する。外では強い雨が降っている。
22:46 空港ビルからバスで運ばれた先でタイ航空機に搭乗。
“AIRBUS A350-900(359)”を機材とする”TG682″は、定刻に32分おくれて23時17分に滑走路を離れた。
朝飯 チャルンクルン通りの通い慣れた汁麺屋のバミーナム
昼飯 チャルンクルン通りの通い慣れたカオマンガイ屋のトムトーパッソム
晩飯 “Jack’s Bar”のヤムウンセンムーサップ、パックブンファイデーン、ハウスワインの白、シンハビール