2018.10.3 (水) タイ日記(9日目)
この街の目抜きパホンヨーティン通りが金色の時計塔のある通りと交わる北西の角に、感じの良い喫茶店があった。そこで出すより美味いコーヒーを僕は知らない。その店が、昨年秋にチェンライに来てみると、忽然と消えていた。赤い土がむき出しになった跡地には、ビジネスコンドミニアムが建設される旨の立て札があった。
今回、街で情報を集めたところ、店は名を”THE WANDERER”と改め、コック川の対岸に移ったことが分かった。よってクルマを頼み、行ってみることにした。一度道を知れば、次からは自力で訪ねることができるだろう。
国道一号線からひとつ西にある橋を南から北へと渡り、間もなく左折、そしてまた左折、突き当たったら右折。しばらく行った左手の駐車場でクルマを降りると、鬱蒼とした森の中に小径があった。雨は上がりつつあり、薄日が差しはじめている。小径は予想したよりも長かった。その先には記憶のある喫茶店よりはるかに規模を大きくした、しかし「なるほど雰囲気は確かに、こんな感じだった」という空間が広がっていた。
注文は、入口を入ったところのメニュを見て決める方式に変わっていた。今日はこの店のケーキを昼食としても構わないと考えていたところ、メニュには新たに、ランチの数々が加わっていた。よってその中から一品を選び、席に着く。
ほどなくすると停電になったため、窓際の明るい場所に移る。そして食事を済ませた後は、ことし届いた年賀状や暑中見舞いに返事を書く。
敵が送ってくる季節のハガキは、機械で印刷をされたものに、ほんのひと言が手書きで添えてあるのみ。それに対して当方は、すべて手書きで応戦をするのだ。敵の物量には敵うわけもなく、13枚を書いたところで右手がこわばり、続行は不可能になった。
「あとは明日だ」とボールペンを置き、席を立つ。この店に入ってから2時間ちかくが過ぎていた。
午後はホテルのプールサイドに降り、本を読む。上半身はパラソルの影に隠れているものの、脚は日の光に曝され、耐えがたいほど暑くなる。そのたびプールに入って泳ぐことを繰り返す。
17時ちかくにホテルの裏口を出て西へと歩く。その道がパホンヨーティン通りと交わる南東の角のマッサージ屋”PAI”で、脚と肩のマッサージを1時間だけ受ける。そのマッサージが終わろうとするころ、テレビからは国王賛歌が流れ始めた。
雨がまた降り始めている。ことしのチェンライには雨が多い。お茶屋やイタリア料理屋やマッサージ屋の軒先を伝って北へと歩く。ナイトバザール奥のフードコートには、きのうより多くの雨除けテントが置かれていた。今夜はチェンライ最後の夜だ。ラオカーオのソーダ割りは、きのうに増してゆっくりと飲んだ。
ホテルには20時前に戻った。そしてシャワーを浴びて即、就寝する。
朝飯 “Diamond Park Inn Chiang Rai Resort”の朝のブッフェのサラダと目玉焼き、エスプレッソ
昼飯 “THE WANDERER”のグリルドチーズサンドイッチ、ダブルエスプレッソ
晩飯 ナイトバザールのフードコート32番ブースのチムジュム、パッシーユームーサップ、ラオカーオ”YEOWNGERN”(ソーダ割り)