2016.11.8 (火) 書けないことも多々ある
朝、テレビのニュースを見ていると、その天気予報が今朝は日光から中継をされていた。「ヘー」などと感心しながらしばらくすると「あ、ヨコタさん」と家内が言う。「カメラ」と長男がうながす。それは山で熊に遭遇したときの注意を解説する場面だったらしいけれど、僕はとにかく受像器に映し出された年長の友人ヨコタジュードーの顔写真を撮ることに忙しく、放送の内容は耳に入らなかった。
1980年代のはじめ、東京から地元に帰ったころにはヨコタさんに隨分と世話になった。夜ごと家におしかけ深夜までお茶を飲み、また季節の折々には山や川に連れて行ってもらい、あるいは雪の中で寝ることを何年も続けた。
ヨコタさんは若いころから興味と執念の上手く噛み合った人で、やがて動物写真の大きな賞を獲得した。市井のアマチュアがプロを超えてしまう、ひとつの例である。
ヨコタさんは藪の中にいて、遠くの斜面にいる、まるで胡麻粒のような鹿をたちまち何頭も見つける。あるいは川底の、苔の生えた玉石を踏みつつ、まるで河童のように素早く歩く。そういう敏捷さの反面、森の中に何時間も潜んで鳥を待つ忍耐にも優れている。そしていわゆる「権威」については、これを痛烈に嘲罵するのだ。
ヨコタさんのことは到底、ここに書ききれるものではない。あるいはとてもではないけれど、書けないことも多々あるのだ。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒め煮、長葱の卵とじ、大根おろしを添えた納豆、じゃこ、胡瓜と蕪のぬか漬け、メシ、蕪と蕪の葉の味噌汁、柿
昼飯 「ふじや」の広東麺
晩飯 生ハムのムースとトースト、3種の葉物のサラダ、2種のキノコのスパゲティ、“Chablis Billaud Simon 2014”