2018.8.19 (日) 脇目もふらず
生まれて初めて膝から水を抜いたのは、今月の1日。朝は仏壇に花と水とお茶と線香を供える。最後の、線香を供えるときには正座をする。膝の具合がもっともよく分かるのは、その正座をしたときだ。
「観測史上最高」を更新し続けた酷暑はおとといの17日に収まり、以降は急に涼しくなった。そして僕の膝はどうやらその17日を境として、急速に快方に向かったらしい。朝、仏壇に線香を供える際に、それを如実に感じるのだ。
ということは、暑いところへ行けば、また膝の不調がぶり返すということだろうか。しかしそれは考えられない。今年の夏の日本ほど暑いところは、いくら南の国とはいえ、僕の旅先には含まれないからだ。
昼に長男が青年会のつきあいから春日町2丁目の夏祭りに行って、午後一番で帰ってきた。長男いわく、日本人ばかりのその場にひとり白人の中年男がいて、もらった枝豆と焼きそばを肴に、これまたもらった缶ビールを飲んでいた。声をかけると男はパンプローナに住む人で、2ヶ月の夏休みのうち1ヶ月を、日本での旅に充てている最中と教えてくれた。
男はまた、下関、京都、北海道と列島を北上し、そこから南下して日光に辿り着いたけれど、日本に上陸して以来、今日が一番楽しいと、笑ったという。日光とはいえ我々が生活する今市地区は世界遺産などない、ただの田舎町だ。にもかかわらず「今日が一番楽しい」である。膝を大きく打ちたい気分だ。
スペインの中年男はそれから2丁目の建具屋オダニさんに連れられ、僕が外で昼食を摂っているあいだにウチに来た。既にして帰社していた長男はそれを受けて、ヘミングウェイの話などしながら、隠居の、築150年の建物に案内をしたという。
旅の楽しさとは畢竟、そういうものだ。名所や旧跡や景勝には脇目もふらず、僕がタイの最北部で何もせず過ごすのも、そういうことなのだ。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、納豆、スクランブルドエッグ、ウィンナーソーセージのソテー、蓮根の薩摩揚げの甘辛煮、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、シジミと三つ葉の味噌汁
昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン
晩飯 胡瓜の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、エノキダケと三つ葉の酢の物、大根おろしを添えた揚げ茄子、「みょうがのたまり漬」を薬味にした冷や奴、ほうれん草の胡麻和え、牛肉と玉葱の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」炒め、今年7月3日に日光で収穫したらっきょうを塩と酢だけで漬けた「夏太郎」、チューハイ、“Chez Akabane”の杏仁豆腐、”Old Parr”(生)