2016.11.6 (日) 蕎麦の味
どんなに忙しくても、商品の作り置きはしない。特に「らっきょうのたまり漬」は、毎朝、蔵出しをする。その、仕込み桶から引き上げられたばかりの「らっきょうのたまり漬」を道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に納品するのは早くて9時前。しかし今のような繁忙期には、自店の仕事を優先し、他は遅らせることもある。
本日の「日光街道ニコニコ本陣」への納品は10時30分までずれ込んだ。その際、ウチの売り場のある商業施設と船村徹記念館とのあいだの広場にテントの立てられているのが見えた。「何だろう」と近づいていくと、湯気の盛大に立ちのぼる大鍋のかたわらで「やぶ定」のワガツマカズヨシさんが忙しそうに立ち働いていた。訊けば今月18日から始まる「日光そばまつり」の前哨戦ともいえる「日光新そばまつり」だという。
全国から紅葉狩りのお客様が日光に詰めかけるまで、僕は13時30分から昼食を摂っていた。それが人のやり繰りの都合上、今は11時30分からになっている。その11時30分に、今度は配達用のホンダフィットではなく自転車で「日光街道ニコニコ本陣」に裏を返す。そうして天盛り蕎麦の大盛りを注文する。
今でこそ「蕎麦の街・日光」と有名になったけれど、むかしは蕎麦嫌いが多かった。それは多分、蕎麦とは元々、仕方なしに食べる救荒食だったからだ。しかし今の蕎麦は、その生まれながらの野趣に後天的な洗練が加わり、ちょうど良いところで均衡している。その均衡の具合が多くの需要を生んでいるのだ。
ところで僕にとっての蕎麦は、幽玄の彼方にたゆたう薄墨のようなもので、その美味さがよく分からない。「不味くない蕎麦がすなわち美味い蕎麦」と長男は言う。次に僕が蕎麦を食べるのは、大晦日になるかも知れない。
朝飯 ほうれん草のソテー、揚げ湯波と蕪の葉の炒め煮、ベーコンエッグ、納豆、鰯の土佐煮、メシ、揚げ湯波と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 「日光新そばまつり」の天盛り蕎麦(大盛り)
晩飯 レタスのサラダ、パン、ジャガイモのオムレツ、白隠元豆のドロドロ、“Chez Akabane”の葡萄のケーキ、“Chablis Billaud Simon 2014”