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清閑 PERSONAL DIARY

2016.11.3 (木) 15分間の退屈

20161103g朝、ふと気づくと店舗入口の犬走りに、誰かが置いたらしい温度計が目に付いた。拾い上げて見てみると、気温は10℃ちょうどだった。真冬の氷点下にくらべればどうということもないけれど、今のこの気温は充分に寒い。手荒れとアカギレの季節である。

日に数え切れないほどの手洗いを繰り返し、またその手をアルコールで消毒することを好む僕の手は当然、秋が深まれば指先にアカギレを生じ、また爪と肉のあいだは剥がれ加減になる。そうなってもクリームは塗らない。そのベタつきを嫌って、塗ってもすぐに石鹸で洗い落としてしまうのだ。

おととしのことだったか、優れた焼き菓子を作る工房のあるじに「自分はこれを愛用している」と、「日本ケミファ」の「モイスポリアホワイト」というクリームを教わった。すぐに取り寄せ使ってみると、なるほどこれなら大丈夫と確信をした。塗ったときこそ普通のクリームながら、左右の手をこすり合わせるうち、まるで水に溶いた石膏が固まったような感触と共に、油のベタつきが消えるのだ。

難点は、そのベタつきが消えるまでの手のこすり合わせに15分ほどを要することだ。そのあいだはスマートフォンにもコンピュータにも触りたくない。テレビのリモートコントロールにも手を伸ばす気にはならない。15分間の退屈を紛らわすには、新聞を開くことが最上である。新聞紙なら、すこしばかり汚してもどうということはないからだ

今年はこのクリームを塗ることを怠り、現在、僕の左手の親指、人差し指、中指、右手は人差し指と中指の先にバンドエイドが巻いてある。バンドエイドは「キズパワーパッド」で格段の進歩を遂げたけれど、やはり何かと不便だ。

指先のアカギレが消えたら即、「モイスポリアホワイト」を使い始めなければならない。そうすれば次の春が来るまでバンドエイドとは無縁になれるのだ。15分間の退屈から逃げてはいけない。


朝飯 しいたけのたまりだき、昆布の沖縄風炒め、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、納豆、ベーコンのソテー、スクランブルドエッグ、鰯の土佐煮、メシ、若布と揚げ湯波と万能葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「魚登久」のお通しのおでん風煮物鰻の胆焼き鰻重、肝吸い、「片山酒造」のカストリ焼酎「粕華」(生)

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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