2018.3.24 (土) タイ日記(2日目)
目を覚まし、ゴム草履を履いてデスクに近づく。そして電気スタンドのスイッチを入れて、コンピュータを起動する。時刻は3時だった。先ずはデジタルカメラからコンピュータに画像を移す。その中から昨日の日記に必要な画像26枚を選ぶ。26枚とは、aからzまでのアルファベット26文字を画像のファイル名にするからだ。それ以上の枚数が使いたくても、どうにかして26枚に抑えるのが、ここ数年の僕の決まりである。
3時30分を過ぎたところでホウイッ、ホウイッという、この国の主に南部で耳にする鳥の声がベランダの向こうから聞こえてくる。きのうの日記は長すぎて、なかなか書き終えない。疲れてベッドに横になり、またデスクに戻って書くことを明け方まで繰り返す。
7時を過ぎたところで朝食の会場へとおもむこうとする。このホテルは藩王の屋敷というより宮殿と表現をすべきだ。きのうの日記にも書いたことだが、ロビーへ出るには、庭に面した回廊を数百メートルほども歩く必要がある。その途中に見つけた図書室には、国別に区切られた書棚が整えられ、過去の宿泊者が置いていったものだろう、日本の本も数十冊はあった。
部屋のカードキーは、チェックインの際に厚紙に挟まれた状態で手渡される。その厚紙を開くとホテルの見取り図になっている。その図の”Railway Restaurant”が朝食の場所とは、今朝はじめて知ったことだ。
朝食の豊かなホテルに泊まり、その朝食を時間をかけて摂る。そして昼食は食べない。というか、腹が減らないので食べられない。家内と旅に出たときには、その1日2食が常態となる。
コテイジのそれを含めれば、一体全体どれほどの数があるか分からないプールのうち、部屋に最もちかい”Railway Pool”で昼の数時間を本読みに充てる。寝椅子の脇には、料理や飲物を注文するためのボタンが用意されている。近づいて来た係から、トマトとチーズの串にジェノベーゼソースをかけたピンチョス1本をもらう。
14時すぎにタイパンツを履き、帽子をかぶって家内と部屋を後にする。きのう駅から歩いたときには気づかなかった正門を目指す。部屋からここまでのあいだに、既にして4、500メートルは歩いている気分だ。
先ずは”DAMNOENKASEM ROAD”と”NARESDAMURI ROAD”との交差点の南西角にあるスーパーマーケットをひやかす。元は酒屋だったのだろうか、酒の点数が異常に多い。ラオカーオは残念なことに1種類しか置いていなかったが、バンコクに移動する際には買っていこうかと思う。
そのスーパーマーケットから駅に向かっていくらも離れていないマッサージ屋にて、肩と背中と足のマッサージを1時間だけ受ける。金を払いながら痛みに耐え、最後はチップまで渡すタイのマッサージについては、僕は「安い店でなら暇つぶしに受けても良い」くらいのところだ。今日のマッサージは家内のおごりにて、チップのみ僕が二人分を払う。
フアヒンの日中の気温は30℃ほどだろうか。しかし日差しがきついため、街では日影を選んで歩く。飲食店やバーの多い”POONSUK ROAD”から”DECHANUCHIT ROAD”に出て、夕食を摂るべき繁盛鍋屋を探す。そして迷った挙げ句、ようようその店を見つける。
荷物を減らすため、ガイドブックは必要なページのみ引きちぎって持参する。よって何年号かは不明ながら「地球の歩き方」の地図は、この鍋屋ソンムージョームの位置を間違えている。正しい場所は、街の真ん中を南北に走る”NAEBKEHARDT ROAD”と東西に伸びる”DECHANUCHIT ROAD”が交わる南東の角、である。
そこから目抜き通りの”DAMNOENKASEM ROAD”まで戻るPHETCHKASEM ROAD”には、タイでは珍しくない、その真ん中に木が植えられ、電話ボックスがあり、あるいはがれきだらけの「歩けない歩道」が続いている。
部屋に戻って即、汗に濡れたポロシャツを脱いでベランダの物干しにかける。そしてシャワーを浴びる。タイにあっては、帳面にでも付けておかない限り覚えていられないほど、日に何度も沐浴をする。
兎に角、部屋から門まで4、500メートルはあろうかというホテルだから、本日2度目の外出では、もう歩く気はしない。目抜き通りに出たところでトゥクトゥクに声をかける。鍋屋の交差点まで100バーツという値を確かめて席に着く。僕の知るトゥクトゥクは多く3人乗りだ。しかしこの街のそれは席が向かい合って、6名は乗れる仕様になっている。
ソンムージョームの夜の部は17時30分からと、店先には札が出ていた。しかし我々が着いた17時20分には、既にして幾組もの客が入っていた。幸いにして空いていた外の席に着き、肉と魚貝類のチムジュム、クンオップウンセン、レモンティー、ソーダ、そして氷を注文する。
繁盛店らしく、料理が席に運ばれるまでに15分ほどは待っただろうか。家内はチムジュムのスープにいたく感心をしてたが、僕はむしろ、クンオップウンセンの美味さに心を奪われた。大きな海老が3尾も入っているのは、シャム湾に面した土地柄だろうか。
店は暗くなる前から、既にして満席である。代金は415バーツだった。そこから目と鼻の先のナイトマーケットをそぞろ歩く。正面には、駅の北側にある山が見えている。明日はこのあたりで夕食を摂っても良いかも知れない。
帰りはふたたびトゥクトゥクを拾う。ホテルの正門までとばかり考えていたトゥクトゥクは、しかし門柱と車止めのあいだをすり抜け、ロビーの前に横付けをしてくれた。これこそサバイ、サヌック、サドゥアックの三拍子である。そのロビーには、これから街へ出ようとしていた白人の団体がいた。トゥクトゥクの運転手が効率よく稼げて何よりである。
名状しがたい風情の明かりが点された回廊を辿って部屋に戻る。そしてシャワーを浴び、ベッドで本を読むうち、メガネをかけたまま眠ってしまう。時刻はいまだ、19時台だったと思われる。
朝飯 “Centara Grand Beach Resort & Villas Hua Hin”の朝のブッフェの1皿目、2皿目、コーヒー、パン、テンモーパン
晩飯 「ソンムージョーム」のクンオップウンセン、チムジュム(ミックス)、ラオカーオ”BANGYIKHAN”(ソーダ割り)