2018.3.6 (火) 新品同様
人の購買行動が何に因って惹起されるかについては予想もつかない。
大正8年正月2日の断腸亭日常をfacebookに引用している人がいた。先日の早朝にそれを読むうち、そこに書かれた人物と自分の記憶に齟齬のあることに気づいた。何より対象が偏奇館の変わり者であれば、そのまま忘れてもどうということはない。しかしどうにも気になって、本1冊をamazonに注文した。
amazonという便利な仕組みができてから、本はほとんど古書でしか買わない。「蔵書印あり、新品同様」とあったそれが届いてみれば、裏の見返しと天との2個所に捺された蔵書印を除いては、商品説明に違うことなく新品同様だった。
値段は古書のそれでありながら新品同様とは嬉しい限りだ。それはさておき蔵書印を捺した本人は、果たしてこれを読むことはあったのだろうか。そう感じさせるほどこの本には、染み込んだ煙草の臭いを除けばどこにも傷みが見られない。本はいつ何時であっても手袋を嵌めて扱う人がいる。あるいは前の持ち主も、そのような人だったのかも知れない。
本は、勝手に閉じないよう、また後のページさばきが楽になるよう、先ずは表紙を限界まで開いて指でしごき、癖を付ける。本は大抵、飲み食いをしながら読む。よってことによればその1ページ目から、チューハイやモツ焼きのタレを垂らすかも知れない。前の持ち主とは異なって、僕の本は一瞬にして「新品同様」を失うのだ。
朝飯 納豆、トマトとレタスのサラダ、ベーコンエッグ、切り昆布の炒り煮、大根の麹漬け、メシ、揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 蕎麦
晩飯 白菜と玉葱のスープ、パン、カプレーゼ、グリーンアスパラガスのソテー、生ハムのムース、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”