2018.3.5 (月) 箸
「これまで自分の手がどれほど汚いものを触ってきたか、ということを自分はよく知っている。だから私は鮨は食べない」という意味のことを團伊玖磨は書いた。團伊玖磨が本当に鮨を食べなかったか否かについては知らない。
午後、末広町と黒門町のあいだあたりで用を足す。そして夕刻に銀座へと向かう。雨と、まるで台風のような生暖かい突風がいつまでも止まない。予約の時間にはいまだ間があるため、尾張町の交差点から見番通りの8丁目までは、わざと遠回りをして歩いて行く。しかし薄いコートとジーンズには、雨が強く、あるいは弱く、しかし間断なく吹きつけている。店に気を遣うあまり濡れ鼠になるのもバカバカしい。
そうして馴染みの鮨屋の前まで来てみれば、店は店で客に気を遣ったか、小さな看板には既にして明かりが点されていた。
先月の下旬まで、手の指に細かいアカギレがたくさんあった。指用のバンドエイドでは、広い範囲に及んだアカギレは覆いきれない。よって10本の指のうち4本か5本には、カカトに貼るような大きなバンドエイドを巻き付けていた。そのバンドエイドが今月はじめにようやく外れると、今度は夜、手に軟膏を擦り込み、手袋をして寝ることを繰り返した。
僕の手の指はようやく、鮨の食えるところまで回復をした。箸を使っても構わないけれど、今夜の鮨屋の鮨は、不器用な僕には箸では扱いづらいのだ。そして一昨日のちらし鮨を除いては、ことし初めての鮨を食べる。
朝飯 切り昆布の炒り煮、温泉玉子、ツナとレタスのサラダ、ほうれん草のソテー、納豆、大根と胡瓜としその実の醬油漬け、メシ、揚げ湯波とレタスの味噌汁
昼飯 「セブンイレブン」の2種のパン
晩飯 「鮨よしき」のあれや、これや、それや。「山本合名」の「うきうき純米吟醸生酒」(冷や)